外国人博士、留学生も多く、交流もさかん。

認めるのはライバル企業や電機メーカーだけではない。同大は日本で唯一、就職率100%を誇る。2012年卒業者も学部72人中、47人が大学院へ進学、25人が就職した。これで18年連続で就職率100%を達成したことになる。

その理由は全寮制と長期間のインターンシップにある。同大では1年生の男子学生に寮生活が義務付けられる(女子学生は希望者のみ)。寮では「ユニット」という単位に分かれ、2、3年生の先輩学生1人、アドバイザー教員2人と新入生8人が生活を共にする。

1年生といっても同じ年代ばかりではない。社会人大学として開学したため、現在でも20人前後は企業から派遣されてきた社会人学生がいる。彼らは高卒ないし高等専門学校卒で入社。その後、企業から派遣されて入学するケースが大半だ。年齢は20代前半、一般学生に比べて年上である。

一般学生は、センター試験で国立の名古屋工業大とほぼ同レベルの点数を取らないと合格できない。一般学生は当初、社会人学生のことを内心ではバカにしているという。

ところが、社会人学生は努力して這い上がってくる。勉強だけではない。寮は個室だが、食事はユニット単位でつくることになり、ここでも違いが出るという。

「勉強や生活の知恵、それに遊びも社会人学生のほうが上。次第に一般学生は社会人学生をバカにせず、苦楽を共にするようになります。寮生活によって、社会人基礎力は相当鍛えられるでしょう」(齋藤和也教授)

料理を覚えると、段取りができるようになり、コスト感覚も鍛えられるという。他大学から来た教員は実験の段取りのよさに驚くそうだ。

インターンシップ(学外実習)では合計9~10週間、トヨタグループや電機メーカーなどの工場で実作業を体験する。「日産自動車を受けたとき、トヨタの生産ラインで研修した話をすると採用担当者が食いつき、内定に至った」(学生)とのエピソードもあるほどだ。

寮生活、インターンシップと社会人との接点は山ほどある。鍛えられたコミュニケーション能力が就職実績に反映されるのは当然といえるだろう。現4年生からは初めて、総合商社への内定者も出た。

「商社も工学部出身者が重用される時代。今後も数%は行かせたい」(榊学長)