早稲田OB&ファンからの圧力で委縮

もうひとつ気になるのが、2冠達成による心理的な変化だ。

優勝候補の筆頭として注目されれば、取材への対応が増え、周囲の期待も高まる。すべてが順調に進んでいるときほど、知らず知らずのうちに「慢心」が生まれる可能性がある。当然、監督はそうした緩みを禁じるだろうが、1年生の三羽ガラスはまだ10代である。舞い上がってしまってもおかしくない。

一方、「絶対に勝たなければいけない」という意識が強すぎれば、それが重圧になる。主力選手が故障や体調不良で練習を離脱すれば、今度はチーム内に「不安」が広がっていくかもしれない。早稲田OBやファンは全国に大量におり、彼らに箱根で負けるという選択肢はないだろう。

出雲から全日本までは3週間だったが、全日本から箱根までは約2カ月ある。この期間、選手たちが平常心を保ちながら、箱根に必要なトレーニングに集中し続けるのは簡単ではない。

花田監督は大学4年時に箱根駅伝の「2区争い」で消耗した苦い経験を持つ。そのため、選手たちにはメンバー争いで力を使い果たさず、本番にベストの状態で臨むよう伝えている。こうした経験に基づく指導は早大の強みだが、監督がどれほど慎重に準備を進めても、予期せぬ出来事でチームの歯車が狂うことはある。

早稲田大学
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チーム内のモチベーション問題

箱根駅伝では12月10日に16人のチームエントリーが行われる。しかし、どのような選考をしても、メンバーから外れた選手が悔しさを抱くことは避けられない。1年間、箱根出場を目指して練習してきた選手にとって、とりわけこれまで出場を果たせていない4年生にとって落選のショックは大きい。なかには急激にモチベーションを下げる選手もいるだろう。

その気持ちをチーム内でどう受け止め、次の行動につなげていくのか。こうした部内のコントロールはセンシティブで難しい。もし、選考から外れた選手と登録メンバーとの間に溝が生まれれば、チーム全体の雰囲気にも影響しかねない。逆に、出走できない選手が最後まで仲間を支え、登録メンバーもその思いを背負って走ることができれば、大きな一体感につながる。

箱根駅伝で勝つためには、走る10人だけでなく、チーム全体が同じ方向を向いていることも重要なのだ。