サンリオの国内コラボ商品にも飛び火
10月28日、『環球時報』は社説で、ハローキティなどのキャラクターを使った「VIVANT」とのコラボ商品を名指しし、「日本の右翼と踊るべきではない」と批判した。
サンリオの中国法人は同日夜、微博(ウェイボー)で謝罪してコラボの中止を発表し、翌29日には日本のサンリオも、企業理念にそぐわない表現が含まれていたとして、コラボの終了を発表した。
このコラボ商品は日本国内でしか販売されていなかったが、サンリオにとって中国は、海外売上高の約4割を占めるとも報じられる重要市場である。中国では売っていない商品であっても、中国市場への配慮から、日本国内での販売を止めざるを得なかったのだろう。
外国企業が中国市場で不買運動に遭うというチャイナリスクは、これまでも繰り返し起きてきた。だが今回は、中国の官製メディアの一声で、日本企業が日本人向けに日本で売る商品まで止まった。
日本の民間企業が制作したフィクションが一方的に政治問題化され、日本国内の商業活動にまで直接的な被害が及んだのである。
これは、日本のエンタメ産業や民間企業が、突然中国の政治的認知戦に巻き込まれ、ビジネス上の実害を被るという「新チャイナリスク」が顕在化した出来事と言える。もはや中国側は、民間のドラマ制作やキャラクタービジネスまでも日本の安全保障政策と一体化させ、認知戦のターゲットとして位置づけているのである。
北京の顔色に左右されていいのか
今回の論争で、中国側は「歴史上の加害者と被害者を逆転させるな」と公然と主張している。だが、現代中国において国家権力による拷問が報告されてきたことは、歴史認識とは別の問題である。
中国側が本当に「中国を拷問国家として描くな」と主張するのであれば、まず説明すべきは、国際人権機関が繰り返し指摘してきた自国の拷問の実態ではないだろうか。
そしてわれわれ日本人も、今回の騒動を単なるドラマの炎上として片づけるべきではない。中国で売るかどうかに関係なく、日本企業は今後、日本国内でのコンテンツ選びにまで北京の顔色をうかがわされることになりかねない。
企業に求められるのは、炎上してから「理念にそぐわない」と撤退することではない。どこまでの圧力なら受け入れないのかを、事前に自ら決めておくことである。それができなければ、日本の表現と商売の境界線は、中国の官製メディアによって引かれることになる。
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