拷問を禁止している国のはずが…

中国当局は約300人の弁護士や法律関係者、活動家を取り調べ、一部を長期間拘束した。拘束された人々の中には、長期間消息が分からなくなった者や、拷問を受けたと訴えた者もいた。たとえば謝陽弁護士は、拘束中に睡眠を奪われ、長時間にわたって不自然な姿勢を強いられるなどの拷問を受けたと、弁護人を通じて訴えている。

後手に縄で縛られた男の手
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国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、事件から10年となった2025年7月の報告で、当局による人権派弁護士への監視や嫌がらせ、資格剥奪などが続いていると指摘している。

特に深刻なのが「指定居所監視居住(RSDL)」という制度だ。これは国家安全に関わる事件などで、容疑者を通常の拘置施設以外の指定された場所に拘束できる制度である。

国連の人権専門家は、この制度の下で弁護士や家族との接触が制限され、拷問や虐待が行われたとの報告について懸念を表明してきた。

中国は拷問等禁止条約の締約国であり、国内法でも拷問を禁止している。それにもかかわらず、政治的に敏感な事件での拷問や強制的な自白について、国際社会から繰り返し問題を指摘されているのである。

つまり、中国の国家機関による拷問は、海外のドラマ作家が想像しただけの出来事ではない。

VIVANTが批判されるもう一つの理由

ここで「VIVANT」に戻ってみよう。ドラマに登場するのは架空の秘密情報組織であり、現実の中国政府機関を描いたドキュメンタリーではない。だが、中国の国家権力による拘束や拷問の実例を知る視聴者にとって、作中の拷問場面は、単なる空想とは受け止められないかもしれない。

日本人を拷問する中国系組織という描写が、中国国内で政治的に拘束された中国人への拷問を連想させる余地もある。

『環球時報』がこの連想を恐れて批判したという直接の証拠はないものの、中国人を残虐な加害者として描くことに強く反発した以上、現実の中国における拷問の問題を抜きにはできないだろう。

今回の中国側の反応には、もう一つ見逃せない側面がある。それは、「VIVANT」が国益のために海外で秘密活動を展開する日本の情報組織を肯定的に描いていることだ。