NetflixではなくTVerが大ヒットを支えた
今回のAMPDの調査を読んで私が最も注目したのは、視聴経路だ。
配信時代の成功事例というと、多くの人はNetflixを思い浮かべるだろう。しかし、「VIVANT」成功の舞台はNetflixではない。なんと、TVerだったのである。
前掲のAMPDの調査によれば、「VIVANT」シーズン2の月間ユニーク視聴者数はTVerで1000万人を超えた。Netflix、U-NEXT、Prime Videoを大きく上回る数字だ。さらにYouTubeでも、公式動画や考察動画、切り抜き動画などを通じて巨大なリーチを獲得している。ただし、各サービスで配信されていたシーズンは異なる。TVerではシーズン2が無料配信される一方、NetflixやPrime Videoではシーズン1が配信されていた。
つまり「VIVANT」の成功は、単に日曜劇場の視聴率が高かったということではない。放送後にTVerで視聴されることで、YouTubeで考察動画が作られ、そしてSNSでは翌週まで議論が続く。ドラマの消費が放送時間の中で完結せず、複数のプラットフォームを横断しながら増幅されていったのである。私はここに、日本のテレビ局が築き上げた独自の成功モデルを見る。
「VIVANT」を見ていて改めて実感したのは、現在のテレビドラマはもはや単なる「放送番組」ではないということだ。一種のメディアイベントになっているのである。
韓国ドラマとは「世界進出の順番」が違う
しかし、ここで疑問が生まれる。アジア1位なのに、なぜ海外視聴者は3%しかないのか。
多くの人は、この数字を見て「日本ドラマは世界に通用しない」と考えるだろう。だが、私は別の疑問を抱いた。「VIVANT」は本当に韓国ドラマと同じ条件で競争していたのだろうか。
「VIVANT」シーズン1は2023年12月、日本での放送終了後にNetflixで190以上の国と地域への世界配信を開始した。一方、2026年のシーズン2は、国内では地上波放送直後にTVerとU-NEXTで配信され、有料見放題ではU-NEXTが独占していた。
一方で、Netflixオリジナルの韓国ドラマは違う。作品は配信開始と同時に世界市場へ投入される。アメリカでも、日本でも、韓国でも、ほぼ同じタイミングで視聴される。つまり、日本のドラマは最初から海外のドラマと同じ土俵で戦っているわけではないのだ。
Netflixオリジナル作品は公開初日から世界中の視聴者が同時に語り始める。SNSも口コミも同時多発的に広がる。ところが「VIVANT」は、まず日本国内で盛り上がり、シーズン1では、その熱狂が一段落してからNetflixで世界配信された。
2026年のシーズン2も海外の一部地域で配信されたが、国内の視聴者が圧倒的多数を占めた。配信地域やサービス、宣伝体制などの違いを考慮する必要はあるものの、日本国内を中心とする成功モデルと、世界同時展開を前提とする作品とでは、競争の条件が異なる。

