東京ばな奈が選ばれ続けている理由

施策同士のつながりを理解する

東京ばな奈が選ばれ続けている理由を整理していきます(図表12)。

つまり、東京ばな奈が人気であり続けている理由は、「ネーミングが良い」「主要な駅に売っている」「コラボが上手」といった個別の要因だけでは説明ができません。

定番が売れ続けているから、新しい商品にも挑戦できる。その挑戦が、東京ばな奈を「昔からあるお土産」で終わらせない。この循環そのものが、選ばれ続けている理由なのではないか――ここまで考えると、街で目に入る定番のお土産が、いくつものマーケティングの工夫から顧客に選ばれる理由につながっていると考えられます。

東京ばな奈が「ど定番」になった3つの理由

今回のトレースから見えてきた、東京ばな奈がど定番になった理由を3つに整理します(図表13)。

1つ目は、バナナという素材が持つ「全年代への親しみ」です。

名前・かたち・黄色を30年以上変えずに続けてきたことで、「東京なら東京ばな奈」と迷わず選べる定番になりました。バナナという素材も、大人には子どもの頃に憧れた舶来の味、子どもには遠足で親しんだ味として、渡す相手の年齢を選ばない安心につながっています。

2つ目は、定番なのに飽きさせない仕掛けです。名前や形、黄色を基調とした見た目は守りながら、味やパッケージ、コラボレーションには新しさを加えてきました。定番らしさを守りながら、飽きられない工夫を続けているのです。

黒澤友貴・矢倉和雄『AI時代に差がつく マーケティング思考力トレーニング』(フォレスト出版)
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3つ目は、「東京土産」としての意味をつくったことです。東京ばな奈は、東京で採れた食材を使った商品ではありません。それでも、「東京」の名前を掲げ、東京駅や空港などで販売を続けることで、「東京に行ってきた」と伝える土産として定着していきました。

もともと東京の特産品ではなかったバナナを、「東京ばな奈」という商品を通じて東京土産として定着させた。その積み重ねによって、東京を代表する土産ブランドの1つになったと考えられます。

この3つが重なって、「誰に渡しても外さない、それでいて古びない」土産になりました。「30年をかけて、東京土産の新しい定番の形をつくってきたブランドである」といえるのではないでしょうか。

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