組む相手はディズニー、ポケモン、ちいかわ…
そこで今回、東京ばな奈のポジショニングを、「更新され続ける、東京の定番」と捉えてみました(図表9)。
では、東京ばな奈は何を変え、何を変えずに残してきたのでしょうか。
新しさを出し続けると、築いてきたブランドらしさが薄れる可能性があります。一方、何も変えなければ、新しく選ぶ理由が生まれにくくなります。そこで、歴代の商品やコラボレーションを並べ、「変わったもの」と「変わらなかったもの」に分けてみました(図表10)。
見てみると、変えている部分の大胆さに驚きます。味はキャラメルから白桃、抹茶まで広がり、組む相手はディズニー、ポケモン、ちいかわ、ドラえもんと変わり続けています。
2020年には全国のセブン‐イレブンで販売し、近年はコアラのマーチやフルグラなど、他社の商品の中にまで入っていきました。「東京みやげ」という前提すら、一度は外しているわけです。それでも、変えていないものがあります(図表11)。
「東京ばな奈」という名前。バナナのかたち。黄色を基調とした売場と箱。バナナクリームという中身。そして「見ぃつけたっ」という、開けるまで柄が分からない体験。
変えない軸がはっきりしているから、変える部分が「ブレ」ではなく「発見」として受け取られる。「変えないもの」と「変えるもの」をはっきり分けるやり方は、ほかのブランドが簡単には真似できません。新しいブランドには、「これが東京ばな奈らしさ」と多くの人に覚えてもらえているような要素がまだなく、何を変えずに残すべきかが定まりません。
一方、歴史のある老舗は、味や見た目を変えること自体が「昔と違う」と受け取られ、ブランドを傷つけやすい。守るものがはっきりしていて、なおかつ変え続けられるブランドは、実は多くないのです。



