「2秒で約400万円」「19秒間に55万円」

顧客の被害は大きく三つある。最も深刻なのは取引口座での不正売買だ。利用者は自動売買のため、各FX会社の口座のIDとパスワードをサーバーに保存していた。攻撃者は、それを使って口座に入り、短時間に大量の売買を繰り返したとみられる。

被害を訴えているのは、GMOのサーバーを借りていた利用者だ。口座は国内外の別のFX会社にある。報道やSNSでは、「2秒で約400万円を失った」「19秒間に16件の取引で55万円の損失が発生した」「300万円が全損」「残高がゼロになった」との投稿もあったが、今のところ、被害の全容は掴み切れていない。取引の高速化などもあり、被害額を迅速に掴みづらいことが、サイバー攻撃対応の難しさの一つといえる。

他のFX会社も対応に追われた。一部の口座は、GMOのサーバーから盗まれたIDとパスワードでログインされたようだ。OANDA証券やFXTFは、被害口座の利用を制限した。アヴァトレード・ジャパンは、一部のパスワードを強制的に初期化した。ただ、今のところ、被害の件数や総額は公表されていない。各社とも、自社システムへのサイバー攻撃は発生していないとしている。

補償の「ボーダーライン」とは

二つ目は、個人情報の流出だ。24日、GMOは顧客情報が外部に持ち出されたことを認めた。攻撃者は27日、顧客1人分とする氏名や住所などを専用サイトに公開し、毎日1人ずつ公開すると予告した。ただし、公開内容は正確ではないとの指摘もある。

攻撃者側は、GMO顧客の自宅PCにも侵入したと主張した。GMOによると、回収した顧客のPCから、今のところ、マルウエアの感染やランサムウエア攻撃の痕跡は確認されていないという。

三つ目は、二次被害と機会損失だ。二次被害としては、被害者にハッカーチームを名乗る者からメールが届き、それを開封すると、新たなウイルス感染や情報の窃取の恐れがあるといわれている。

機会損失は、全サーバーが10月21日から止まったことで生じた可能性がある。サーバーが止まれば新たな注文はできない。顧客にとって相場が不利に動けば、損失が拡大する恐れがある。24日の時点で、GMOは、相場変動による損失や、得られたはずの利益は補償の対象外とした。