65歳になっても、2000万円以上が残る

もう一つ見落とせないのが、何歳で返し終わるのか、という点だ。

多くの50年ローンは「完済時に80歳未満」という条件をつけている。つまり、50年いっぱい借りられるのは、基本的に20代までだ。30歳前に50年ローンを組めば、80歳近くまで返済が続く。

35年ローンなら30歳で借りて65歳で完済という計画になるが、多くの会社員にとって、65歳は定年を迎える年齢だ。働き続けるとしても、給料は大きく減るのが普通である。そのときに2000万円を超える住宅ローンが残っている状態を、「無理のない住宅購入」と呼べるだろうか。

退職金で返せばいい、という考え方もあるだろう。しかしそれは、老後の生活費に回すはずだったお金を、ローンの返済に充てるということにほかならない。

「返済負担率20%なら安全」は本当か

住宅ローンを組むとき、よく目安にされるのが「返済負担率」だ。年収に占める年間返済額の割合のことで、たとえば世帯年収700万円で年間返済額が140万円なら、返済負担率は20%になる。

数字だけ見れば、それほど高くないように思える。

しかし、この考え方には「その20%を何年間払い続けるのか」という視点が抜けている。35年ならまだしも、50年となればどうだろう。30歳から80歳まで、人生の大半にわたって収入の一定割合を住宅ローンに回し続けることになる。

しかも変動金利なら、20%のまま続くとは限らない。図表5の6000万円の例で、最初の年間返済額約172万円が年収のちょうど20%にあたる人(年収約860万円)を考えてみよう。金利が②のように上がると年間返済額は約236万円になり、年収が変わらなければ、返済負担率は約27.5%まで上がる。

その間には、子どもの教育費、車の買い替え、親の介護、自分たちの老後資金の準備がある。病気や失業で収入が減ることもあるだろう。住宅ローンだけを見て「年収の20%だから安全」と判断するのは危険である。