「小学4年生レベル」の英語で発信

これらの実例が示すように、トランプ英語が日本人にもわかりやすい最大の理由は、単語が簡単で、文章も短く単純だからだろう。

大統領就任直後から、トランプ氏の英語は歴代大統領の英語に比べて平易であるとたびたび指摘されてきた。ニューズウィーク誌(2018年1月8日)は、第1期政権発足直後のトランプ氏の英語が米国の小学4年生レベルで、90年近く前のフーバー大統領以降、歴代大統領のなかで最低だったという民間研究機関の分析を伝えた。

分析は、各大統領が就任後、演説や記者会見などで発した最初の3万語を比較したもので、オバマ大統領は中学3年生レベルで歴代3位だった。また、オバマ氏とトランプ氏のそれぞれ1期目の就任演説を分析した英国の大学の研究によると、トランプ氏の1文の平均語数はオバマ氏より27%も少なかったという。

一方、トランプ氏の発言は言葉が平易なだけでなく、発言の内容自体が極めて具体的で、ストレートだ。複雑な事柄を自らの立場に寄せて思い切り単純化して伝えているからだろう。これも日本人のような英語を母語としない人たちにも発言がわかりやすいと感じさせるもうひとつの理由になっているようだ。

中間選挙では自身の「信任投票」をアピール

形勢不利が伝えられる11月3日の中間選挙を前にテキサス州ダラスで9月に開かれた共和党大会での演説で、トランプ氏は自らの大統領としての業績を「世界中が認めている」と自画自賛したうえで、こう述べた。

“Please pretend that I'm running and get out and vote on November 3rd or sooner.”
(私が出馬しているというていで、11月3日かそれより前に出かけて投票してください)

中間選挙は上下両院議員を選出する選挙で、大統領のトランプ氏は候補者名簿に名を連ねていないが、トランプ氏はあえて、今回の中間選挙が各候補者の資質や党の政策など以上にトランプ氏個人への信任投票であると、選挙の意義を単純化している。そのうえで、信任投票などの難しい言葉は一切使わず、仮病(pretended illness)などの表現でも使われるpretend(偽る、ふりをする)という極めてわかりやすい普通の言葉で投票を呼び掛けた。ちなみに、投票についてこの翌日に行った演説ではこう述べている。

“You know what happens if you don't vote? You go to hell.”
(投票にいかないとどうなるかわかっていますか。地獄に落ちるんですよ)

説明の必要がないほど簡単なメッセージだ。もちろん投票先が共和党(というよりトランプ氏)であるのはいうまでもない。