一時的に上がっても長期的にはマイナス
「売上前年比アップ」を目標にしてしまうと、何が起こるのかを考えてみましょう。あと半月で今期も終わり。現時点での前年比は98%で、目標とする「前年比超え」は、このままだと厳しい状況です。ただ、あと3%で何とかなる……。その時、あなたならどうしますか。
「無茶な押し込み販売」「利益度外視のセール」「来期の売上の前倒し」そんな誘惑に、抗うことはできるでしょうか。言うまでもなく、こうした施策は短期的に売上が上がっても、長期的に見ればむしろマイナスになる可能性のほうが高いものです。数字にとらわれすぎるあまりに、数字しか見なくなる。
「あと3%アップ」などの数字に縛られて、その数字が自己目的化してしまう。これが、多くの会社や店で起きている現実ではないでしょうか。
では、「利益」を目指すのは?「前年比で利益○%アップ」という目標なら、問題ないのではないか。当然のことながら、企業が本当に目指すものは「利益」です。指標として適切な気がします。ただ、一つ問題があります。それは、「利益を出すための方法は、あまりに多すぎる」こと。
利益とは、言うまでもなく、次の式で導き出されるものです。
売上を確実に伸ばすには「顧客数」を見る
ただ、ひと言で「コスト」と言っても、コストには原材料費や仕入原価などの「比例費」はもちろん、人件費や家賃、光熱費などの「固定費」も入ります。つまり、利益を上げたければ「売上を増やす」とともに「比例費を減らす」「固定費を減らす」など、さまざまな方法があるわけです。
そして難しいのが、売上とコストは常に二律背反になりがちだということです。売上を求めると、相応の経費がかかってしまう。広告宣伝費を削ると、コストは下がるが客数が落ちてしまう。人件費を減らすと、サービスの質が落ちて売上が下がってしまう。常に、これらの不安がつきまといます。
そして、その整合性を取るために、さまざまな経営指標(KPI)が設定されます。KPIとは「key performance indicator」の略で、文字通りキー(カギ)になる指標を指しますが、そのキーが5本も10本もあったりすることもしばしばです。
カギが多すぎて、どのカギがどのカギ穴に合うのかわからない、といった状態です。でも、たった一つだけ、確実に二律背反にならない要素があるのです。それが「顧客数」です。当たり前の話ですが、モノが売れるのは、お客さんが買ってくれるから。その数を増やせば、シンプルに売上は上がります。

