毎日、全身を亀の子たわしでこする理由
初めの頃は途中で、ちょっとやめたくなったものでしたが、習慣化して行くうちに、もう、やらないと気持ちが悪くなるのですね。終わりますと、全身にじっとりと心地よい汗がにじみ、体が軽くなったように感じられます。
病気で虎の門病院に入院したときは、病院の廊下を歩いたものです。もちろん、1万歩というわけにはいきません。しかし、この習慣化された歩くということの愉しさは、老齢の私にとって、体を整える上に、何ものにも代えがたい運動なのです。
病気のために一時、中断していたこの歩くという習慣を、近頃、復活できたというのも、何と幸せなことかと思っているのですよ。天気のよい日の午後など、うちの者たちと連れ立って、散歩に出かけるのがいまの私の愉しみなのです。
いつでも、腹の中は風が吹くように軽い
どうして若く見えるか。勿論、化粧をしているせいもあるが、私を見た人は、私の肌が生き生きしているので、吃驚するのである。では、どうしてそうなのか。
私は普通の人よりも、毎日の生活に、とても心を配っている。毎日、全身を、あの茶色の亀の子たわしでこすっている。
そのために、風邪は一年中、ひいたことはない。これも毎日、1万歩から1万5000歩、歩いている。両手を脇につけて、歩くと言うより、マラソンの姿勢で、ちょっと小走りに急いで歩く。
那須にいるときは戸外を歩くが、青山の家にいるときは、いつでも、家の中の障子唐紙が凡て開けてあるので、家中の畳の上と廊下との区別なく、「ひィ、ふゥ、みィ」と数え、百を数えるごとに指を折りながら、駆ける。
鏡で見ると、ちょっと滑稽な姿勢であるが、それで駆けるのである。
夜でも昼でも、眠いときに眠る。食べ物はなるべく菜食。ときどき、豆腐の殻の煮たのに、牛肉のみじんに切ったのを入れたりすることもあるが、これは例外で、なるべく菜食。間食は一切しない。いつでも、腹の中は風が吹いているように軽い。

