対人関係と不安定な愛着スタイル
社会的な困難さも、性犯罪のリスクを高める要因となります。社会生活を送る中で、孤独感や低い自尊感情、被害者意識、他者への不信感などが生じると、良好な対人関係を築くことが難しくなります。そして、こうした対人関係上のストレスは、性犯罪のリスク要因の一つとされています。
また、不安定な愛着スタイルをもつことも、さまざまな問題を引き起こします。性犯罪者には複数の異なる愛着スタイルがみられ、それぞれが異なるタイプの感情的問題と関連しているとされています。
例えば、「回避型(拒絶型)」は他者に対して敵意を抱きやすく、成人女性に対して暴力を振るう可能性が高いこと、「固執型」は他者からの承認欲求が強く、愛着関係を性的な関係へと結びつけてしまう傾向があり、子どもとの性的接触に至りやすいこと、「無秩序型」は否定的で激しい感情をコントロールする手段として性犯罪を用いる可能性が高いことなどが指摘されています。
実際に、児童に対する性加害者には固執型の傾向が、成人に対する性犯罪者には回避型あるいは拒絶型の傾向が、そして性犯罪者全体では非性犯罪者と比較して無秩序型の傾向が、それぞれ高いことが報告されています。
「襲うしかなかった」と言う少年の理由
さらに、幼少期の虐待被害が不安定な愛着スタイルの形成や愛着障害につながることは、これまで幅広く研究されてきました。そのため、こうした愛着上の問題が性犯罪のリスクを高める可能性は十分に考えられます。
性非行を行った少年たちもコミュニケーション力の低さが目立ちました。そのため異性はもちろんのこと、友人との良好な対人関係がつくれず孤立していたり、いじめ被害や虐待被害により強い被害者意識、大人への不信感、不安定な愛着スタイルを呈していたりしました。
ある少年は私にこう言いました。
「女性とコミュニケーションがうまく取れないから、襲うしかなかった」
もちろん論理の飛躍もありますが、社会性の困難さがなければもう少し違った行動につながっていたのではと感じます。
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