性犯罪の動機づけになる感情
感情の問題としては、自身の感情をうまくコントロールできないことで、適切な動機づけができなくなったり、衝動的な行動を起こしてしまったりすることがあります。また、怒りや悲しみを適切に調整できずに口論へ発展したり、自分の気持ちを相手にうまく伝えられなかったりするなど、さまざまな困りごとが生じる可能性があります。
感情は動機づけと密接に関係しています。「楽しいからやりたい」「怖いから逃げたい」「好きだから話をしたい」といった感情は、強い動機づけにつながります。しかし一方で、「強い喜びを得たいから性的なことをしたい」「悲しさを解消したいから性的なことをしたい」といった衝動的な行動につながるおそれもあります。これは、性的活動が感情的な幸福感と結びつくことがあるためです。
また、怒りをうまくコントロールできない場合には、些細なことで怒りを爆発させて相手を攻撃したり、口論に発展したりすることがあります。さらに、本当は嫌だと感じていてもその気持ちを表現できず、自分の考えや感情を適切に伝えられないことで、人間関係のトラブルに巻き込まれることもあります。こうした経験がストレスとなり、それが不適切な動機づけにつながる可能性もあります。
いじめの被害者だった少年院の少年たち
感情の問題には、自身の感情をコントロールできないことだけでなく、他者の気持ちを理解することが難しい場合も含まれます。
例えば、相手が不快感を示したり嫌がったりしていても、その気持ちに気づくことができなかったり、相手が受ける苦痛や被害の大きさを十分に予測できなかったりすることがあります。その結果、不適切な性的行動に対してブレーキをかけることが難しくなるのです。
少年院に入院してくる性加害を行った少年たちは、その多くがいじめ被害に遭っていました。彼らは性加害を行った理由として、「いじめられてストレスが溜まっていた。性的なことをするとストレスが発散されて楽になった。だから繰り返した」というものが最も代表的なものでした。いじめ被害による怒りや悲しみをうまくコントロールできず、そうした気持ちを楽にしたいという感情が性的なことをしたいという動機づけにつながったようです。
一方で「相手も同意してくれていた」と主張する少年たちも少なくなく、それは相手の気持ちを察したり想像したりすることが苦手な少年に見られ、他者の気持ちを正しく理解できないことで生じていた勘違いとも考えられました。

