事業費は5000億円近くに

ハンガリー経済紙のヴィラーグガズダシャーグによると、ヴィテジ・ダーヴィド交通・投資相は6月の議会答弁で、事業費が1兆フォリント(約4860億円)近くにのぼると明らかにした。2021年時点の7500億フォリントを、さらに上回る額だ。

事業の透明性を確保するうえで、壁となっているのが中国側の同意だ。2020年に可決された法律では、関連文書は10年間の機密扱いとされた。公開には中国政府の同意が欠かせない。そこでヴィテジ氏は、中国側に公開を働きかける考えだという。

7月、ヴィテジ氏は列車制御システムのソフトウエアに不具合が見つかったと明かし、フェイスブックに「守れない期限を約束するより、正直に透明に進捗を伝える」と書き込んでいる。

欧州に中国事業を持ち込む難題

9月15日、ヴィテジ氏は、「旅客営業の開始が視野に入った」とフェイスブックに投稿し、最も厳しい試験でも、制御システムに安全に関わる重大な欠陥は見つかっていないと説明した。10月初めの負荷試験を経て、ヴィテジ氏は10月8日、列車制御システムの試験が完了したと発表した。国内の旅客輸送を10月後半に、国際旅客を12月に始める見通しだという。

透明性を重視する新政権のもと、旅客輸送の開始がゆっくりと実現しつつある。しかし、2014年の建設決定から、事業は実に12年に及ぶ迷走を続けてきた。

エステルハイ氏らはディプロマットへの寄稿で、ハンガリー区間でいまなお続く遅れは、地政学的な象徴性の限界を露呈したと指摘する。事業を通じて確かにハンガリーは中国に政治的に接近し、注目を集めた。だが、それは必ずしも実用に足るインフラを生み出すことを意味しない、というのだ。

五星紅旗とハンガリーの国旗
写真=iStock.com/Oleksii Liskonih
※写真はイメージです

むしろ、EUの調達規則や技術基準を満たすべき地域に、中国の一帯一路構想のもとでレールを敷こうとしたことで、資金や国内での実施体制の面からも制約が立ちはだかった。

質の高いインフラを造れる国として、欧州に存在感を示す――。そんな中国の狙いとは裏腹に、一帯一路の欧州での看板事業は順風満帆とは言い難い歴史を歩んでいる。

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