大統領が胸を張った開業式典
2022年3月、1964年以来初めて全面改修された駅舎に、セルビアのアレクサンダル・ヴチッチ大統領とアナ・ブルナビッチ首相、そしてオルバーン氏が顔をそろえた。3人は2階建て4両編成の列車「ソコ」号に乗り込み、270人の乗客とともに30分間の記念運行に臨んだ。
チェコ鉄道専門誌のレールターゲットが伝えたところでは、ヴチッチ氏はこの日、「欧州で最も近代的な区間の一つを開く」と高らかに宣言している。「我々の高速鉄道は、ロシアと中国の友人たちが造った。ドイツ人が監督し、列車はスイス製だ」とも胸を張った。オルバーン氏は両国の連携を「かつてなく緊密だ」とたたえ、路線は「数年後にはブダペストまで」延びるとの見通しを示していた。全線開通は、当時の計画で2025年とされていた。
ところが、バルカン・インサイトによれば、駅舎は2022年の選挙戦のさなかにお披露目されたものの、その後も改修工事は続いていた。地元当局は2024年7月になって、ようやく駅を「欧州基準どおり」に改修し終えたと発表している。庇が崩れ落ちたのは、その4カ月後のことである。
欧州規格の壁に阻まれた
どうにか開通に漕ぎ着けたセルビア側に対し、ハンガリー区間の開業には2つの壁が立ちはだかっていた。
1つ目は、欧州規格の壁だ。計画で定めた最高時速160キロで走らせるには、EU規格に準拠したETCS(欧州列車制御システム)の導入が欠かせない。ところが2023年、ハンガリー英字ニュースサイトのデイリー・ニュース・ハンガリーは、メーサーロシュ氏の会社にも中国の企業連合にも、ETCSを扱う能力がないとする見方を報じた。
ハンガリー人作業員の一部は現場を離れ、別路線の改修へ向かっていた。代わって工事を引き継ごうとした中国側は、欧州規格を満たす施工ができなかった。報道機関VSquareによれば、中国側は作業を止めたばかりでなく、融資も停止したという。
ハンガリー英字ニュースサイトのハンガリー・トゥデイによると、結局、中国の技術だけに頼らない「ハイブリッド技術」が採用された。方式こそ古いものの、霧で視界が利かなくても時速160キロで走れるようにはなったと、MÁV(ハンガリー国鉄)は説明している。
2つ目は、安全性の壁だ。ノヴィサド駅の庇の崩落事故を受け、路線にも厳しい視線が向けられるようになった。当時のラーザール・ヤーノシュ建設交通相は2025年12月の議会経済委員会で、独立した国際検査機関であるドイツのTÜV(技術検査協会)に技術・財務・安全面の審査を依頼したと説明した。TÜVが問題なしと判断すれば、年明けの2月半ばにも旅客営業が認められるとの見通しであった。

