選挙前の開業に間に合わず
だが、ラーザール氏が見込んだ2026年2月20日の開業は果たせなかった。開業予定はその後も2月末〜3月15日、復活祭へとずれ込み、総選挙を前にどれも守られずに終わった。
4月12日の総選挙を控え、世論調査ではマジャル・ペーテル氏率いる野党ティサ党が先行していた。選挙前に旅客列車が走り出していれば、オルバーン政権は鉄道近代化という大きな成果を有権者に示せたはずだった。
ところが2月27日、新しい線路で営業運転を始めたのは、旅客列車ではなく貨物列車だった。ニュースサイト「テレックス」は関係者の話として、「MÁVは旅客列車を線路に送り出す勇気がない」と報じた。
3月30日になると、建設交通省は声明で、「ハンガリー区間ではすべての準備が整った」と強調した。例に挙げたのは、線路や駅、車両。だが同じ声明の中で、同省は列車制御システムのETCSがまだ試験中であることも認めていた。英鉄道業界専門誌のレイルウェイ・ガゼット・インターナショナルが報じている。
修正版の納品予定は投票日の5日前
ETCSには最初のソフトウエア試験で不具合が見つかり、中国の請負業者が4月7日に修正版を納品する予定だった。しかし、たとえ修正版が期日通りに届いても、それで終わりではない。試験列車が時速160キロで約2万キロを故障なく走りきって、ようやく承認が下りる。これまでの事業では、承認までに約3カ月を要したという。
修正版の納品予定から総選挙の投票日まで、わずか5日しかなかった。こうして選挙前の開業は、事実上不可能になった。しかもMÁVでは、ETCSに精通したベテラン専門家2人がすでに職を去っていた。
そして投票日。それまで野党だったティサ党が199議席のうち141議席を獲得し、圧勝する。オルバーン氏は、「我々にとって痛いが、明白な結果だ」と敗北を認め、長い政権に幕を下ろした。
オルバーン氏が政権の座を降りた後も、新政権はしばらく旅客列車の運行開始日を示せずにいた。中国とどのような関係を維持するのかについても、はっきりとした方針が見えない。
首相就任を控えたマジャル氏は選挙の翌日、問題の鉄道計画について、主に中国の利益のための事業だと批判した。ただ、記者会見で香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストの質問を受けた際には、中国との対話は「完全に開かれている」とも答えている。

