“自分責め”でパフォーマンスが下がる原因

73分と19分。この54分の差は、感情的な出来事が1日に1回起きたと仮定すると、月20営業日で約18時間、年間で約220時間という業務時間の差として積み上がっていきます。あなたの集中力を奪っているのは、ミスでも上司でもなく、その後の「自分責め」なのです。

なぜ自分を責めると、それほどまでにパフォーマンスが下がるのでしょうか。心理学者であるクリスティン・ネフらの研究によれば、自己批判の強い人ほど不安や抑うつが高いことが示されています(注1)。

また、ポール・ギルバートらは、自己批判は脳の「脅威反応」を活性化させ、コルチゾール(ストレスホルモン)の分泌を促すと指摘しています。この状態では前頭前野の働きが抑制され、判断力・創造性・集中力が一時的に低下することがわかっています。

脳が「脅威」と判断した状態では、前頭前野は防御態勢に入ります。反省に必要な冷静さがオフラインになっているのです。

注1: Kristin D. Neff/2003年/Self and Identity, 2(3), 223-250

自責にかられる社員が多く送信するメール

社内評価トップ5%に入る社員も感情的になることはあります。調査では5%社員の67%が「月に1回以上は感情的になる場面がある」と回答しています。しかし、感情的になった後に「自分を責める」と答えた5%社員はわずか9%でした。

彼らは感情的になった自分を責める代わりに、「あの場面で何が起きたのか」を事実ベースで振り返るのです。感情という「現象」を観察するのであり、感情的になった「自分」を裁くのではありません。

さらに、弊社が調査した95%社員の行動ログを分析すると、自責が長引く社員ほど「謝罪メールの送信回数」が多く、かつ「次の行動に移るまでの時間」も長いことがわかりました。自責は行動を生まず、むしろ行動を阻害します。「自分が悪かった」という感情の渦の中に沈んでいる間、問題は放置され続けます。

弊社が9社で行った実験では、感情的になった直後に「今の反応は正常だ」と声に出して言うだけで、自責の時間が平均41%短縮されました。これは、たった1秒で自分を責めるサイクルから抜け出すためのシンプルな方法です。

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