社内で評価されているトップ社員は、普通の社員とどこが違うのか。のべ17万人の働き方を分析したクロスリバー代表の越川慎司氏は「仕事中に感情的になる場面で、社内評価トップ5%に入る社員と普通の社員の間で大きな差がでることがわかった」という――。

※本稿は、越川慎司『17万人の分析データから導き出した トップ5%社員の感情に振り回されない習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

問題を抱えているビジネスマン
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「自分を責める人」が抱えるジレンマ

「さっきの会議で感情的になってしまった。なんであんなことを言ったんだろう……」。

弊社が実施した15社へのアンケートで、「感情的になった後に自分を責めたことがある」と回答した社員は実に84%にのぼりました。ほとんどの人が経験しているのです。

職場において感情的な場面は日常的に起こります。締め切りの直前に割り込み仕事が入ったとき、あるいは上司から理不尽な指摘を受けたとき、誰でも感情が揺れます。問題は「感情的になったこと」そのものではなく、そのあとに何が起きるかです。

ここで意外な事実をお伝えします。「感情的になった後に自分を責める」傾向が強い社員ほど、実は周囲から「真面目で責任感がある」と評価されていました。

弊社の評価データと感情パターンデータを突合すると、自責が強い社員は上司からの評価が平均より7ポイント高い一方で、本人の主観的幸福度は平均より21ポイント低いのです。つまり「周囲には評価されているのに、本人は苦しい」という状態が慢性化しているのです。

外から見えている優秀さと、内側で感じている苦しさは別の指標で動いています。前者は上司の評価軸、後者は本人の幸福度。両者がズレたまま続くと、評価が上がるほど本人は消耗するという反転が起きます。

自分を責める人は73分も損をする

メンタルが弱いと感じている人、あるいはそういう部下や友人をサポートしている人に知っておいてほしいことがあります。「感情的になった後に激しく自分を責める」というパターンは、多くの場合、「感情を持ってはいけない」という長年の思い込みから来ています。

子どもの頃から「泣くな」「怒るな」「感情的になるな」と言われ続けた人ほど、大人になっても感情が動いた自分を受け入れられません。これは性格の弱さではなく、感情を否定する環境で育った結果です。

感情が動いた瞬間に「自分はダメだ」を選ぶか「これは正常な反応だ」を選ぶかは、解釈の選択肢の問題です。育った背景は変えられませんが、解釈の選択肢を持つことは今日からできます。

しかし問題は、感情的になったこと自体ではありません。自分を責めるという「二次被害」の方です。弊社の行動追跡データでは、感情的な出来事があった後に自分を責めた社員は、そのあと平均73分間、集中力が低下していました。一方、感情的になっても自分を責めなかった社員の集中力低下時間は平均19分でした。

つまり、感情的になったことよりも、「自分を責める」という反応の方が4倍近くもパフォーマンスを下げていたのです。