「休んでいるのに回復しない」状態の正体
1日目
ここからAさんは休みに入りました。ただ、睡眠はこれまでと同じように短く、休みだからといってリモートワークをしたり、連絡対応をしたりしてしまったのです。
外見上「休み」であってもエネルギーは消耗します。結果として、見た目は休んでいても、逆に疲労の借金は増えてしまいました。
2日目
前日の反省から、今度はしっかり9時間眠ったとします。睡眠としては理想的です。ただ、気分を変えたくて日中にサッカーをしてしまいました。はしゃぎ系ですね。
試合が組まれていたので、断るのも忍びなかったのです。そのときは楽しく、嫌なことも忘れて気分はよかったのですが、エネルギーの消耗は大きかった。夜になって疲れをどっと感じました。
その結果、せっかく9時間睡眠で回復した分をほぼ使い切ってしまい、疲労のレベルはほとんど変わりません。
3日目
前日のことを深く反省しました。9時間眠り、今日は「何もしない」と決めて、一日を過ごしたのです。
しかし、それはこれまでやったことのない時間の過ごし方でした。うつ状態では、何もしないでいると自責の念や不安が強くなります。それと向き合うだけの時間になり、とてもつらかった。
「ただ我慢するだけ」の時間は、実はかなりのエネルギーを使うのです。
この日は、外見上はほとんど動いていません。でも、体の中で、大きなエネルギーを使い、そのため、もう3日間休んでいるのに、疲労はほとんど回復していない、ということが起きたのです。
これが、多くの人が経験している「休んでいるのに回復しない」状態の正体です。
3日間、意図的に繰り返す「おうち入院」
ここで登場するのが、おうち入院という考え方です。
4日目以降。Aさんは、指導を受け「おうち入院」を開始します。
まず9時間の睡眠はしっかり確保します。
そして日中は、昼寝以外は、「癒し系のストレス解消法」をつないで時間をつぶしてエネルギーの消耗をできるだけ小さくするのです。
そうすると、睡眠で回復した分と日中の消耗との差が、はっきりとプラスになります。この状態を数日続けると、エネルギーレベルが次第に改善されていきます。
短期休息パッケージ:おうち入院
おうち入院は、休み方がわからない人向けの具体的な行動指針です。
①9時間の睡眠確保
まず9時間の睡眠をしっかり確保します。これは「入金」を最大化するための最優先事項です。日中の睡眠をカウントしてもいい。睡眠の質にはこだわらない。
②「癒し系」による徹底的な省エネ
日中は、前の節で説明した「癒し系のストレス解消法」を使い、エネルギーの消耗をできるだけ小さくします。癒し系のツールを活用することで、不安や自責による「感情の浪費」を予防するのです。
③何をして、何をしないか迷ったら……
入院を参考に考えてください。入院のときに認められることはOKです。
たとえば、散歩、テレビを見る、本を読む、雑談をするなど。
逆に、サッカーをする、外出して遊園地に行く、夜更かししてSNSを延々と閲覧する、などは入院では許されません。ダメです。
④家事は極力しない
入院患者が掃除や炊事を行わないのと同様、この期間は徹底して「何もしないこと」を自らに許可します。コンビニを最大限活用します。栄養も気にしない。
⑤連絡を取らない
外界との接続は、それだけで感情エネルギーを消耗させます。おうち入院中はできるだけ、職場との連絡、SNSなどは、遠ざけるようにしましょう。
「電池切れだった」とか、「熱が出て寝ていた」などの言い訳をすればいいでしょう。
この状態を3日間、意図的に繰り返す。これが、おうち入院の基本形です。
特別なことをする必要はありません。また、必ずこうしろという決まりもありません。回復の差し引きをプラスにすることだけを考えてください。


