加賀まりこは「本物の正直」である

1974年、30歳のときにフジテレビのプロデューサーと結婚。それまで「自分が追いかける」のが加賀の恋愛パターンだったが、このときは逆。ただ結婚に至ったものの、感性の違いなどがしだいに埋めがたいものになり、結局5年ほどで離婚となった。

倉本聰脚本『やすらぎの郷』(テレビ朝日系、2017年放送)では、かつて恋人だった石坂浩二との共演が話題になった。そして59歳のときからは、演出家の清弘誠と20年以上に及ぶ事実婚生活を続けている。

「恋多き女」と形容される芸能人はほかにもいるが、加賀まりこの場合はその事実を隠さないところが清々しくさえ感じられる。いつの時代も世間の目は陰に陽にあるものだろうが、自分の生きかたに強い信念を持っているのがうかがえる。

そんなキャラクターは、古舘伊知郎とともに司会を務めた音楽番組『夜のヒットスタジオSUPER』(フジテレビ系、1989年放送開始)など、女優以外のタレント業にも生かされている。また趣味の麻雀にもプラスの効果があるのか、麻雀番組『THEわれめDEポン』(フジテレビ系、1995年放送開始)で何度も優勝している芸能界きっての雀士でもある。

名作『麻雀放浪記』を書いた作家・阿佐田哲也とも交友があった。阿佐田は加賀まりこについて、「彼女ほど生き方を飾らない女優さんは珍しい」と感嘆する。「女優という職業の中で、正直に生きるのはとても至難なこと」だが、加賀は「本物の正直」であると(阿佐田哲也『怪しい交遊録』)。

『ブラッサム』の第1週完成披露試写会に出席した加賀まりこは、今回のドラマを「中途半端に綺麗事にしないことだけを、心から祈ってます」と制作陣にわざわざ要望していた。それは、宇野千代の人生がそうだったからであると同時に、加賀自身もまた「本物の正直」を貫いて生きてきたからに違いない。

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