「エレベーターでの会話」を7倍活用

期待されている人657名を調査した結果、そのうちの376名(57.2%)が、エレベーター内での会話から得た情報を業務提案や問題解決に活用していることが判明しました。

「○○部の新プロジェクト、順調ですか?」「来月のシステム更新の準備、いかがですか?」

相手の業務に関連した具体的な質問をすることで、他部署の進捗状況、課題、人員配置の変更といった重要な社内動向を把握。

そして他部署が人手不足で困っているタイミングで自部署の空きリソースを提案したり、システムトラブルで悩んでいる部署に過去の解決事例を共有したりする。

これらの先回りした行動により、「状況把握力がある」「問題解決能力が高い」「チームワークを重視する」という管理職候補としての評価を獲得していました。

ちなみに一般社員785名の中で同じ経験のある人は65名(8.2%)のみでした。

32%が会話をきっかけにした「業務上の連携」

エレベーターでの印象の効果を詳しく検証するために、ボタン係をせずにエレベーターを利用するグループと、意識的にボタン係になるグループに分けて、3カ月間の変化を追跡しました。

エレベーターの行先ボタンを押す手
写真=iStock.com/zoff-photo
※写真はイメージです

結果は、ボタン係を実践したグループの43%が、他部署からの業務相談や協力要請がスムーズになったと回答しました。興味深かったのは、上司から褒められたと回答した人が61%もいたことです。

さらに印象的だったのは、32%が、エレベーター内での会話から生まれた業務上の連携が増えたと答えたことです。

「そういえば、あの件でお困りでしたよね」「うちの部署で似たような案件がありまして」といった偶然の会話から、新しいプロジェクトや改善提案が生まれたそうです。

調査において最も興味深かったのが、部下や他部署の人を先にエレベーターから降ろすという習慣です。当初、私たちは「それはむしろ相手に気を遣わせてしまうのではないか」と思いました。

しかし実際にヒアリングを重ねてみると、この行動により他部署の人たちや部下との間に親近感が生まれ、「あの人は偉そうにしない」「気さくで話しやすい」という印象を与えていたことがわかりました。

この積み重ねが会話のしやすさにつながり、廊下での立ち話やランチタイムでの相談、プロジェクトでの協力へと発展していたのです。

重要なプロジェクトのメンバーや昇進候補者を選定する際の「あの人は人望がある」という評価にもつながっていました。