※本稿は、的場一峰『ヤマレコ社長は伝えたい アプリ時代の「絶対遭難しない」山の知識』(山と溪谷社)の一部を再編集したものです。
登山中の「機内モード」は自殺行為
登山中にスマホの機内モードをオンにする人は、思いのほか多い。が、実は携帯の電波が圏外の場合、バッテリーの消費量は機内モードにしようとしまいとほとんど変わらない。かつての3G携帯は機内モードにすることでバッテリー消費を抑えられたが、現在の4G/5G対応スマホでは数パーセントぐらいしか変わらないのだ。
ただし、電波が1本だけ立っている場合は話が違う。スマホが遠くの基地局まで通信するために電波の出力を上げることで、バッテリーが早く減ることがある。
だからバッテリーをもたせるために機内モードにしなければ、と考えがちだが、ちょっと待ってほしい。機内モードとはスマホの発信を遮断することであり、最悪の場合、この行為が原因で命を落とす可能性があると知ってもらいたい。
そこで、登山アプリがどのような仕組みで動いているかを説明したうえで、機内モードを使うことのリスクと対処法を解説する。
なおGPSは受信専用の機能であり、機内モードでも動作し続けることを覚えておいてほしい。
「ほぼ圏外」でも位置情報を送ることが可能
登山を開始すると、ヤマレコアプリはバックグラウンドで自動的に動き始める。GPSで取得した現在地の緯度・経度をヤマレコのサーバーに送信し続ける。送るのは時刻・緯度・経度のデータのみで、通信量は極めて少ない。電波が不安定でアンテナが1本しか立っていないエリアと圏外を行き来するような場所でも、一瞬つながるタイミングでサーバーに位置情報を送ることができる。
この送信により、万一、圏外で遭難しても、どこまで歩いたのかわかるだけでも捜索範囲が絞られ、それにより迅速な救助が可能になるということだ。
そして近年の衛星通信サービスの普及が、位置情報をサーバーに送ることの助けになっている。通常の基地局電波が届かない圏外エリアでも、上空を周回する衛星との通信によってデータ送信を可能にするサービスが登場しており、ヤマレコアプリの位置情報送信機能はすでにこうしたサービスに対応している。

