「遭難者を捜す時間」が生存率を下げる

また「私はココヘリ(※)に加入しているから大丈夫」という人はいるが、本当に大丈夫なのだろうか?

※ココヘリ:小型端末で位置を特定する、会員制の山岳捜索・救助支援サービス

ココヘリの端末には2種類ある。通常の電波を発信するスタンダード端末と、GPSと通信機能を搭載した上位端末だ。スタンダード端末の場合、救助隊が実際に現場で電波源を捜す必要がある。GPSつきの上位端末を持っていて、かつ毎回必ず充電して登山に行くならいいが、そうでない場合は結局「遭難者を捜す」行為が必要だ。端末の上に遭難者が倒れこんでいるとか、端末の状態によっては電波が飛ばないこともある。時間をかければほぼ見つかるものの、救助時間の長短は生存率に直結する。

つまり、アプリの緯度・経度情報でおおよその場所を把握し、現地に行くとココヘリで遭難者を見つけることができる。そのようなイメージを持つといいだろう。

機内モードではなくモバイルバッテリーを持参しよう

最もシンプルで確実なバッテリー消費対策は、モバイルバッテリーを持参することだ。5000mAhの薄型モデルであれば重さは100g強で、スマホをほぼ1回充電できる。特に非接触充電(ワイヤレス充電)対応のモデルをすすめたい。充電ケーブルが不要なので荷物が減り、端子が濡れて充電できなくなるリスクもない。

的場一峰『ヤマレコ社長は伝えたい アプリ時代の「絶対遭難しない」山の知識』(山と溪谷社)
的場一峰『ヤマレコ社長は伝えたい アプリ時代の「絶対遭難しない」山の知識』(山と溪谷社)

最近は準固体モバイルバッテリーや、全固体モバイルバッテリーという発火事故が起きにくいタイプがある。利用可能な環境温度はマイナス20度から60度まで。寒い冬山でも暑い夏山でも安全に使える。

そしてバックグラウンドで動くアプリをチェックしよう。バックグラウンドでバッテリーを消費するアプリがあるなら、その動作を止める、または削除する。そこまで大量にバッテリーを消費するアプリはないと思うが、可能な限り対策してみよう。

もうひとつ「山の中で通知が届くのが気になる」という問題は、集中モード(サイレントモード)で対処できる。ヤマレコのアプリだけ通知をオンにすれば、道から外れたときのアラートだけ受け取れる。家族や緊急連絡先からの電話のみに着信を許可し、LINEやSNSの通知はすべてオフにする設定が可能だ。

必要な通知だけ残して登山を楽しむ。裏側では位置情報が継続して送信され、安全装置は働き続けるのだ。バッテリー10%の節約か、発見される確率50%か。あなたは「どちら」を選ぶか、自分に問いかけてみてほしい。

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