会社で信頼される人は、どんな習慣があるのか。のべ815社、従業員約17万人の働き方を調査したクロスリバー代表の越川慎司さんは「会社で信頼されている人は、エレベーターや自販機の前であっても、社内の人とコミュニケーションを欠かさない。小さな気配りを繰り返すことで、親近感と人望を積み重ね、結果的に高い評価や重要な機会を引き寄せている」という――。

※本稿は、越川慎司『815社17万人を分析してわかった 会社から期待されている人の習慣115』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

エレベーター内でお辞儀をするビジネスマンと秘書
写真=iStock.com/davidf
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エレベーターでの行動に58%もの差

28社の人事部と連携し、1万2897名の行動観察調査を実施しました。その際、エレベーター利用時の行動パターンを記録・分析したところ、意外な結果を得ました。

期待されている人たち(評価上位20%)の89%が、他人の目的階も押してあげる「ボタン係」を積極的にしていたのです。一方で、その他の一般社員でこの行動を取っていた人はわずか31%でした。

58%もの差は、私にとっても予想外でした。

さらに調査すると、彼らは単にボタンを押すだけではなく、乗り込んできた人に「何階ですか?」と声をかけ、降りる際には必ず「お疲れ様でした」と声をかけていました。

この一連の行動により、たった20秒程度で「親切な人」「気配りができる人」「話しかけやすい人」という印象を相手の記憶に刻み、他部署とつながる土台を築いていたのです。

「ありがとう」と言われる回数が3.2倍多い

なぜ、この小さな気配りが出世につながるのか? 真相を探るため、さらに18社でエレベーター内の行動観察調査を実施しました。結果は予想以上に明確でした。

積極的にボタン係になる人は、社内で「ありがとう」と言われる回数が一般社員の3.2倍であり、1日に平均15回以上、感謝の言葉を受けていたのです。

調査の過程では、普段意識していなかった方々がエレベーターで意識的にボタン係を実践し始めると、2週間程度で周囲から「最近、感じがいいですね」「気が利きますね」といった声をかけられるようになったとも報告してくれました。

社会心理学の研究によると、人は小さな親切を受けると、その人に好意を持ち、何らかの形で恩返しをしたくなる傾向があると言います(返報性の原理)。期待されている人たちは、無意識にこの心理効果を活用していたのです。