年1億円の赤字を3カ月で黒字化
昼間は作業着で製造ラインに入り、スタッフと作業しながら機器の修理を行う。夕方からは地元の経営者と懇親を深め、夜に工場に戻ると、朝方までまた作業に勤しんだ。
「夜は22時くらいから始めるんですけど、現地の社員は全員帰してますからね。自分を含め、スワローから出向した3人で、不良品を一つひとつ袋から出して包装し直してました」
また、再建にあたってはスワロー食品の資金を極力使わなくて済むよう、可能な限り外部業者に委託することを避けた。その理由は、「あのお金は、スワローのスタッフが一生懸命稼いだものだから」だという。
「ちょっとしたことは自分でできますからね。だから、土日は朝から晩までずっと、工場の改造とか修繕をしてました。『これで明日から少しは歩留まりが上がるかな』と思ったら、全然直ってなかったときもあって(笑)あの頃は1年間で1日休んだか休んでないか……そんな感じでしたね」
必死の努力が実り、わずか3カ月で宣言通りの黒字化を果たした。その後、ほかにも負債を抱えた企業を次々と再建し、現在はワンタンやちくわぶのメーカーなど、計8社のスワローグループを束ねている。
「会社を売れば、経済的には人生上がれる状態にある」と言うが、決してそんなことはしないのだろう。十数年間、お盆もゴールデンウィークも休まず、ただただ仕事に邁進している。
綺麗事こそ最も効率がいい
業界の慣習に縛られない。「非効率」とされる一手間を惜しまない。自分の懐を肥やすのではなく、社員の給与を上げる。本当に実力のある人材を登用する。はたから見れば「綺麗事」と思えることを、次々にやってのけてきた。「綺麗事では飯は食えない」なんて、どこかで聞いたセリフが頭に浮かぶ。
「綺麗事ってすごい難しいんですよ。余計なことをしなきゃいけないし、責任を取らなきゃいけない。その負担が大きいから、嫌だから、みんな主張をすり替えてるんじゃないかと思う。
でも、経営効率で考えてみると、『綺麗事でど真ん中を突っ走るのが、実は一番優れてるんじゃないか』と私は仮説を立てたんです。その検証結果が、今のスワローです」
冷静かつ力強い眼差しには、この12年の確信が宿っていた。
普段何気なく食べているあの春巻きにも、この「綺麗事」が一枚、巻き込まれているのだろう。
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