年金3割減に消費税30%。家計を襲う最悪のシナリオは、そこまで迫っている。それだけでない。ニートの子供、長生きな親……老後の生活設計を狂わせる「7つの大敵」の攻略法を検証する。
専業主婦世帯は今すぐ「妻活用」せよ
老後マネープランの大黒柱である公的年金。最大の不安要素は、「いつからもらえるか」だろう。
厚生労働省は2011年、支給開始年齢を68歳に引き上げる案を検討していたが、12年中の法案提出を断念。だが、一橋大学経済研究所准教授・小黒一正氏は、「ふたたび引き上げが検討される可能性は極めて高い」と言う。
小黒氏によると、OECD加盟国33カ国のうち、支給開始年齢(引き上げ予定を含む)が日本と同じ65歳の国は16カ国。日本よりも高い国は、67歳開始のアメリカ、ドイツ、68歳開始のイギリス、アイルランドなど13カ国。しかし、どの国の平均寿命も日本より短い。さらに、日本の高齢化は今後、加速度を増す。
「平均寿命から支給開始年齢を引いた年金の受給期間は、OECD加盟国のうちフランス、ルクセンブルクに次いで3番目に長い。開始年齢を引き上げる余地はまだ残っていると言えます」(小黒氏)
では、何歳まで引き上げられる可能性があるのか。年金相談サービス代表を務める社会保険労務士の井戸美枝氏はこう語る。
「70歳に引き上げるべきだという議論もありますが、あまり現実的ではありません。なぜなら年金は雇用とセットだからです」
厚生年金の支給開始年齢の引き上げが決まってから、企業は65歳まで働ける体制づくりを進めてきた。さらなる引き上げは、企業の負担をますます重くしてしまう。
「68歳までの引き上げが限度だと思います。そこからは、むしろ支給額をカットする可能性のほうが高いでしょう」(井戸氏)