年金3割減に消費税30%。家計を襲う最悪のシナリオは、そこまで迫っている。それだけでない。ニートの子供、長生きな親……老後の生活設計を狂わせる「7つの大敵」の攻略法を検証する。
AIJ問題で浮き出た企業年金のもろさ
年金に次ぐセカンドライフの収入の柱が、退職金と企業年金だ。
一般に退職金と言った場合、企業内部に積み立てられたお金を退職時に一括で受け取る退職一時金を指す。企業年金は、外部に積み立てられたお金を退職後に分割でもらう制度で、希望すれば一括で受け取ることもできる。現在、9割の企業が退職金、5割が企業年金制度を導入しており、両方を組み合わせている企業も多い。自分の会社の制度を確認しておこう。
想定しておくべき最大のリスクは、会社の倒産だ。FPの山崎俊輔氏は、「最悪、退職金がゼロになる可能性もある」と言う。
「法律上、倒産時でも退職一時金の支払いは労働債権として優先されます。しかし、実態として払う原資が残っていない場合も多い」
倒産まではいかないが、業績が悪化している場合はどうだろう。
「会社の存続と現役社員の給与支払い・雇用が優先されるため、額が減らされたり、制度そのものがなくなることも考えられます」
では、企業年金はどうか。外部積立が原則のため、倒産しても資産は保全されるが、JALや東京電力のようにOBを含め給付額が減らされるケースもある。
企業年金の制度は主に3つある。もっとも普及しているのが、各企業が独自に運営する「確定給付企業年金」。次いで「厚生年金基金」。これは国の厚生年金の一部と企業年金を合わせて運営する制度で、運営母体の主流は中小企業が集まった業界団体だ。会社が拠出する一定額を自分で運用するのが「確定拠出年金」(401k)で、近年、急速に普及している。
前者2つの場合、運用失敗のリスクを負うのは原則的には企業だが、山崎氏は次のように警告する。
「業績悪化なら減額や廃止の可能性も。株価低迷で企業年金の運用が想定通りにいかず、積立不足が経営を圧迫しているからです。廃止なら、残された財産を現役社員とOBで分け合うことに」