白髪まじりの自分を見て、老後が怖くなった
ある日、ぎっくり腰で動けなくなり、激痛のなかで顔を上げると、鏡に白髪まじりで眉間にしわを寄せた女性が映っていました。思わず二度見しました。疲れ切った、アラフォーの私でした。
その瞬間、頭をよぎったのです。
「今の給料が、将来の年金の計算のもとになるのか」
蓋をしてきた恐怖が、一気にあふれました。このままでは、年を取ってもお金に困る。猫を抱いて暖を取る“貧困老人”になってしまう。39歳で再び転職活動を始め、20社以上に落とされた末、前職の2倍の給料をもらえる会社に採用されました。今度こそ安定を手にしたはずでした。
ところが40代で初めて一人暮らしをすると、家賃と光熱費を払うだけで毎月ぎりぎり。1万円すら貯金できません。将来は障害のある弟を支えることになるかもしれない。会社が安定していても、私の人生まで守ってくれるわけではない。その現実にようやく気づきました。
私はFacebookで見つけた無料のマネーセミナーに申し込み、やがて半年60万円の「お金とキャリア」の講座を受講しました。60万円は、私にとって大金でした。怖かった。でも、何もしないまま人生が固まってしまうことのほうが、もっと怖かったのです。
人生を変えたのは、500円の読書会だった
最初の職場を辞めたときに受け取った退職金は、約300万円。私はその全額を投資信託に預けました。投資の知識が十分にあったわけでも、300万円がすぐに何倍にもなったわけでもありません。それでも、給料も将来も会社一本に預けてきた私にとっては、人生で初めて「会社の外」に立てた感覚がありました。
次に始めたのは、大きく稼ぐことではありません。マネーセミナーで学んだことを伝える、小さな読書会でした。参加費は500円か1000円。利益と呼べるほどのお金は残りません。それでも参加者から500円を受け取ったとき、胸が震えました。
「会社の肩書ではなく、私自身にお金を払ってくれた」
会社では自信のなかった私にも、誰かに渡せる価値がある。これは、私にとって小さな革命でした。
振り返れば、人生を動かしたのは、派手な勝負ではありません。セミナーに行く。課題を期限までに出す。最前列に座る。懇親会に参加する。読書会を開く。自信がないからこそ、誰でもできる小さなことを、誰よりもしつこく続けました。500円の向こうに、それまで見えなかった人生の入り口が開いたのです。
では、参加者は私の何に価値を感じ、お金を払ってくれたのでしょうか。あとから振り返ると、それはマネーセミナーで得た知識だけではありませんでした。



