裏側に「男系男子」へのこだわり
ただし、高市氏の言い訳をいちいち真に受けるわけにはいかない。
内親王・女王方が婚姻後も皇室にとどまられた場合、改正法では配偶者もお子さまも「国民」とされる。夫婦も親子も身分が違う、皇室にも民間にも類例がない“異例の家族”を強制される。
本当に「皇族数の確保」が目的ならば、ご家族も皆さま「皇族」とするのが当然のはずだ。
一方の養子制度は、果たして適切な該当者(養親と養子)が現れるか不透明だ。それだけに、内親王・女王のご家族をあえて皇族に“しない”制度設計は、不自然すぎる。裏側に「男系男子」へのこだわりがあることは隠せない。
それでも、女性天皇を望む民意の高まりによって、高市氏は釈明を余儀なくされた。その釈明の中では、本心かどうかはともかく、女性天皇の可能性を示唆するほかなかった。
直系継承で「国民と苦楽を共に」
女性天皇への期待感については、上皇陛下が平成時代に「ゆくゆくは愛子(内親王殿下)に天皇になってほしい」とおっしゃっていたことが知られている(奥野修司氏『天皇の憂鬱』平成31年[2019年])。これは、単に孫が可愛いという、個人的な心情によるものではない。「国民と苦楽を共にする」という皇室にとって大切な精神が、確かに将来へと受け継がれるためには、“直系”による継承が最も望ましい、という皇室の方々の合意が背景にあるだろう。
9月2日に報じられた上皇陛下が葬儀の簡素化を望まれるお気持ちも、国民生活への影響を極力小さくしたいと配慮されてのことだ(読売新聞オンラインなど)。それも、ずっと以前からのお考えを踏まえたものだ(宮内庁は平成25年[2013年]11月14日に「今後の御陵及び御喪儀のあり方について」を発表)。
天皇陛下は自ら敬宮殿下の「手本」となられ、また様々なご活動をご一緒されることで、自覚的に最高の“帝王学”を授けておられる(今年の天皇誕生日に際しての記者会見でのご発言など)。そのことが、敬宮殿下ご本人のお気持ちを前提としていることは、疑う余地がない。

