「立皇嗣の礼」でも立場は変わらない
驚いたことに、立皇嗣の礼で天皇陛下が“秋篠宮殿下が次の天皇である”と宣言された、などと平気で虚偽を言いふらす者も現れた。だが、そんな事実はもちろんない(立皇嗣の礼での天皇陛下のおことばは宮内庁のホームページ参照)。
そこでは、傍系の皇嗣という暫定的・相対的な立場を確認したにとどまる。
そもそも近代以降の皇室制度では、何か儀式や手続きを経ることで「天皇」とか「皇太子」の地位につかれる、という仕組みにはなっていない。そうではなく、皇室典範(や“それと一体”の特例法)の規定に基づいて、遅滞なくそれらの地位につかれる。
したがって立皇嗣の礼についても、この儀式を経て、秋篠宮殿下が初めて皇嗣になられたわけではない。秋篠宮殿下は、この儀式が行われる前から皇嗣という暫定的・相対的なお立場であり、儀式の後も同じだ。
だから、立皇嗣の礼によって「皇位継承」が「既に確定している」という高市氏の言い分は、二重の意味で間違いだ。
皇位継承順序は皇室典範の改正次第
高市氏は別に、「悠仁親王殿下までの皇位継承」が「既に確定している」根拠として、(2)皇室典範を挙げている。これは首相である以前に、1人の国会議員の発言としても、あまりにもお粗末ではないか。
改めて言うまでもなく、皇室典範は法律だ。法律であれば、憲法に抵触しない限り、いかなる改正も可能だし、国会が将来それを改正する範囲を、あらかじめ限定することもできない。当たり前だ。
だから、憲法の「皇位は世襲」(第2条)という範囲内であれば、典範を改正して女性天皇を認めることも、女系天皇を認めることも、可能だ(内閣法制局執務資料『憲法関係答弁例集(2)』平成29年[2017年])。
現在、側室不在の一夫一婦制で少子化なのに皇位継承資格を「男系男子」だけに限定するという、昭和戦後の皇室典範で“初めて”採用された、およそ伝統とも無縁で、持続可能性を期待できない無理なルールがある(典範第1条)。しかし、国会が良識を発揮すれば、いつでもその限定を解除できる。
それが解除されれば、典範の「直系長子」最優先ルール(第2条)によって、天皇皇后両陛下のご長女、敬宮(愛子内親王)殿下が皇位継承順位第1位、つまり皇嗣たる皇子=皇太子になられる(秋篠宮殿下は第2位に)。だから国会で自由な立法が行われる限り、悠仁殿下までの皇位継承が「既に確定」などとは、決して言えない。
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