イーロン・マスクはお金はあっても自由な時間はない
たとえば、世界トップクラスの資産家であるイーロン・マスクは、圧倒的な金融資本を持っていますが、一方で「自由な時間」は極限まで削られているはずです。であれば、「時間を贅沢に使わないとできないこと」を勝利条件に設定すれば、彼にすら勝てるゲームが成立します。
旅行ブロガーや旅行YouTuberは、相当な時間が必要なので、イーロン・マスクに勝てるかもしれません。彼は絶対に、「1年間、貧乏旅をして、YouTubeで配信する」みたいな贅沢なことはできないはずです。
「たくさんの思い出を作ることが人生においての勝利条件」と、勝利条件を変えてしまうと、「各駅停車で日本縦断貧乏旅行をしてすごく楽しかった」といった思い出を作れたあなたは、イーロン・マスクよりも良い思い出を持っている、とできる可能性もあります。
AIの時代こそ「非効率」が価値を持つ
以前、写真家の丸山晋一さんが、ニュージーランドの洞窟で「月虹(ムーンボウ)」を撮るために30時間かけたがうまくいかなかったというnoteを見ました。
AIを使えば、どんなに美しく幻想的な虹の画像も、今や10秒足らずで生成できてしまう時代です。そこを、真夜中に、暗闇の中を歩きながら奇跡の瞬間をただひたすら追い続ける。そんな、効率性から見れば「非実用的」でしかない時間の使い方は、分刻みで動く強者には絶対に不可能なプレイングです。
AIによって精巧に作られた「100点の正解画像」があふれ返り、その価値が暴落していくからこそ、その1枚の背景にある「30時間、苦労して写真を撮ろうとした」というナラティブには、AIには決して真似できない代替不可能な価値が宿ります。
「効率」ではなく「実体験の濃さ」を勝利条件に据えれば、強者が手出しできない領域で構造的に勝利を収めることができる。「競争から降りる」のではなく、「自分が勝てる別のゲーム盤に書き換える」のが、メタゲームの真髄なのです。


