直感と五感を研ぎ澄ませた先の「白い線」
ジャングルでは、頭で考えた理屈はなかなか通用しません。頼れるのが自分の直感だけということもしょっちゅうです。私は、木々の隙間から差し込むわずかな光の加減、風のにおい、地面の傾斜……、それらを全身の皮膚で感じ取りながら進みました。
二日目の夕暮れどきでした。疲労はピークに達していましたが、ふと前方の木々の向こうに、これまで見てきた緑とは明らかに違う「白い線」が走っているのが見えたのです。
「あれだ」
直感的にわかりました。それは人間が森を切り拓いて作った道路でした。その白い線まで辿り着いたとき、私は九死に一生を得ました。フラフラになりながらベースキャンプになんとか戻れたのは、今、まさに捜索ヘリが出発しようかというときでした。
そんな経験を振り返って、今、思うのは、自分の命を救ったのは最新の機材でも知識でもなかったということ。自分の五感を研ぎ澄ませたことで目覚めた本能、生物として本来持っているポジティブな力だったと断言できます。
ジャングルの美食、シロアリの恵み
その二日間の遭難中、私は水以外は何も口にしませんでした。
しかし、その後もアフリカの熱帯雨林で調査を続け、何度か似たような「遭難もどき」を経験するうちに、私はジャングルでの食事に困らなくなりました。何が食べられて、何が自分を支えてくれるかが身体でわかってきたからです。
ジャングルで一番の栄養源は何だと思いますか? 木の実や果物でしょうか? 実は最も確実で貴重なたんぱく源は「虫」です。
とくにシロアリ。これは絶品ですよ。なかでも「キノコシロアリ」という大型のシロアリ。その塚を見つけ、そこに棒を差し込んで釣り上げる、あるいは羽アリが飛び出す時期なら、それを捕まえて口に放り込む。シロアリは脂質とタンパク質が豊富で、ナッツのような香ばしい味がします。
アフリカのある地域では普段から食べられていますし、ゴリラやチンパンジーが夢中になって食べるのも頷けます。彼らにとって、シロアリは最高の、いわばサプリメントなんです。
ただし、注意が必要な「アリ」もいます。「軍隊アリ」です。彼らは数百万匹の群れで移動し、行く手にあるものすべてを食い尽くします。牛や馬など大きな動物さえ襲う。
迂闊に彼らの行列に足を踏み入れれば、あっという間に身体中を咬まれ、激痛に襲われます。人間にとっても非常に危険な存在です。

