要因②キャリアの終盤/③身体的な衰え
【[要因②]キャリアの終盤に差しかかり、不全感が芽生えてしまう】
定年年齢の引き上げはあるものの、40代半ばから会社員生活は終盤に向かっていきます。現場から離れる人事異動、役職定年、定年退職といった区切りが視野に入り、また、セカンドライフ研修で退職後の生き方を考えるように促す職場もあります。
もちろん、環境の変化に備えるのは大事なことですが、自分のキャリアが終盤戦を迎えたと気づいたとき、築いてきたキャリアに不完全さや物足りなさを感じてしまうこともあるはずです。
「同期はどんどん昇進しているのに、自分は……」「このまま定年まで、この仕事を続けるのか」「本当はもっと違うキャリアを歩みたかったのに」
特に、出産や育児、闘病、介護のためにキャリアが制限されたと感じている人は、「本当にあのときの選択でよかったのか」という後悔の念がわいてくることもあるでしょう。
【[要因③]身体的な衰えを感じ、生理的な変化に不安を覚える】
「以前は徹夜も平気だったのに、今は少し寝不足なだけで体調を崩す」
「駅の階段を上るだけで息が切れる」
「ふとしたときに人の名前や地名、商品名が思い出せなくなった」
体力面でも認知能力の面でも衰えを感じ始める時期です。特に女性は、更年期によるホルモンバランスの乱れから、イライラや不眠、疲労感が強くなり、日常生活や仕事に影響を及ぼすこともあります。疲れやすくなった、眠りが浅くなった、もの忘れが多くなった……。このような変化は遠からずやってくる老いを意識させ、心理的な不安を助長していくのです。
要因④子どもの独り立ちや親の介護
【[要因④]家庭環境が大きく変化し、新たな役割を求められる】
子どもが独り立ちしていく、親の介護が始まる。この時期は、家庭内での責任や役割も大きく変わってきます。
保護者として子育てに全力を注いできた人にとって、子どもの独立は「空の巣症候群」と呼ばれる喪失感をもたらします。長年、「母親」「父親」としての役割が人生の中心だった人ほど、子どもが巣立った後、急に人生の意味を見失ってしまいがちなのです。
一方で、親の老化が進むと、今度は介護する側としての役割を担うこともあります。仕事と介護の両立に悩み、結果的に介護のために離職をする人も少なくありません。実際、介護離職が最も多いのは50代です。
こうした家庭内での役割の変化が、「自分って何だろう」というアイデンティティの揺らぎにつながっていきます。

