チーム全員に与えたい「役割」
「人は期待された通りになる」という性質を組織に活かすには、個人のやる気を内面の問題として切り分けるのではなく、チーム全体の関わり方として設計し直す必要があります。やる気が低いように見えるメンバーがいる場合でも、実際には周囲の期待の低下や関与の希薄さが影響しているケースは少なくありません。
特定の成果者にだけ期待が集中すると、それ以外のメンバーは「自分は対象外」と認識し、行動量や自己評価が下がっていきます。
これを防ぐには、全員に役割期待を明示し、評価や承認が特定の個人に依存せず循環する状態を作ることが重要です。具体的には、上司から部下への一方向の評価だけでなく、メンバー同士でも成果や工夫を言語化して共有する仕組みを設ける。日常的な接触や小さな進捗承認を通じて、「見られている」「期待されている」という感覚を継続的に伝える設計に切り替えていきましょう。
「第三者の声」を届けると人は変わる
あわせて意識したいのが、ポジティブ情報をチームに行き渡らせる仕組みです。顧客からの感謝の声、他部署からの好評価、成功事例といったポジティブ情報は、放っておくと当事者の中だけに留まり、チーム全体の評価感覚にまで広がりません。
定例ミーティングで「先週うれしかったお客様の声」を共有する、社内チャットに専用チャンネルを作るなど、評価が自然に流通する経路を作っておく。これだけで、ピグマリオン効果はチーム全体に広がっていきます。
そしてもうひとつ、見落とされがちなのが「第三者の視点を取り入れる工夫」です。上司一人からの評価では、どうしても主観や好みが入り込みやすくなります。
「他部署の○○さんが、あなたのプレゼンを高く評価していたよ」と他者の言葉を借りて伝える、複数の関係者から短いコメントを集めて共有するなど、本人以外の視点を介在させると、評価の客観性が増し、本人の納得感も高まります。期待は、伝え手の数だけ強さを増していくのです。

