「義援金」と「支援金」とは役割が違う

寄付文化などに詳しい関西学院大学の石田祐教授(社会起業/寄付・ボランティア論)は、災害時の寄付についてこう話す。

「義援金にせよ、支援金にせよ、それぞれ大切な役割があります。災害のニュースに触れた方が寄付をしたいと思ったとき、その気持ちを生かすためには、寄付したお金がどこへ行き、何に使われるかを知ったうえで、自分の思いに沿った方法で寄付することが大切です」

ここでは、主に義援金と支援金の役割やお金の流れについて解説し、それぞれが災害支援の中でどのような役割を果たしているのかを見ていきたい。

■「義援金」の役割

まず、義援金とは都道府県や日本赤十字社などが受付窓口となって募集され、最終的に被災者へ現金として届けられるお金だ。

熊本地震では主に日本赤十字社、熊本県、熊本県共同募金会が義援金の受付を行っている。赤十字社も共同募金会も団体の運営は別の予算で行われるため、義援金として寄付されたお金はすべて被災者に届く。三者どこに寄付しても実質的な違いはない。

また、テレビ局などでも呼びかけられているが、こうした窓口で集められたお金も、義援金としての募集であれば最終的には赤十字や県へ送金される。

集まった義援金は自治体や赤十字社などで構成する「義援金配分委員会」が配分基準を決め、その基準に基づいて全額が被災者へ届けられる。「死亡○万円」「住宅全壊○万円」など被害状況に応じて金額が決まるため、一定の公平性がある。

「義援金は、自由に使える現金として被災者に届きます。被害に遭った人の生活再建を、十分とはいえないまでも金銭面で直接的に後押しできるのが特徴です」(石田教授、以下同)

【図表2】2026年熊本地震で呼びかけられている主な募金や支援先
各団体への取材、ホームページへの記載などから筆者とりまとめ

被災者に届くのは数カ月先

一方で、被害状況を把握したうえで公平な分配基準を設ける必要があるため、被災者にお金が届くまでには時間がかかる。

2024年の能登半島地震では、最初の配分額が決まったのは災害から約1カ月後、金額が比較的大きかった2回目、3回目の配分は約3カ月後、6カ月後だった。

災害のニュースを見て「いま、被災地を応援したい」と思った寄付も、実際に届くのはかなり先になるのだ。また、集まったお金はすべて被災者に配られるため、被災地での捜索・救命活動や復旧・復興支援などには使われない。

「義援金は、一部は被災自治体の全住民に見舞金として支給されることもありますが、基本的には人的被害・家屋被害を受けた人が対象です。避難所環境の整備のような、被災地域そのものを支援することはできず、支援の対象からこぼれてしまう人もいます」