成果を出す人は発想を広げ、考えを深める

興味深いのは、このアニマル・スピリットと立体思考の高低は、AIの使い方そのものと紐づいている点だ。

【図表8】AIの使い方と紐づく「思考・マインド」
出所:パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査

アニマル・スピリットが高い層と低い層で差がつくのは、「AIの出力をきっかけに新しい発想を広げている」、「AIで新しいアイデアが出やすくなっている」といった使い方だ。アニマル・スピリットが高い層は、AIを、発想を素早く広げる拡散のツールとして使っている。

立体思考が高い層の特徴は大きく異なる。「複数のタスクがあるとき、優先順位を明確にして着手している」、「自分に足りない基礎知識や理解不足を自覚し、埋めようとしている」、「出力の根拠や出典を確認してから使っている」で大きく差がでる。こちらはAIを、自分の考えを深めるトリガーとして使っている。

同じツールが、人によってまったく別の道具になっていることがわかる。閃くだけでは出力に振り回され、練るだけでは動かない。AI時代のハイパフォーマーは、その両方を土台に持っている。

使う頻度が同じでも成果は3倍以上違う

ここまでの特性は、パフォーマンスとどう結びつくのか。

同じAIヘビーユーザーのなかで、メタ・スキルの低い層と高い層を比べると、「これまでの仕事のやり方を見直している」は19.8%対66.1%(3.3倍)、「AIを前提に成果水準を向上させている」は18.6%対66.1%(3.6倍)、「仕事のスピードが上がっている」は19.9%対70.2%(3.5倍)であった。

AI利用頻度と成果の関係を、メタ・スキルの高低別に描くと、二本の線はまったく違う軌跡を描く。高い層は、頻度が上がるほど成果も上がっていく。ところが低い層は、利用頻度をどれだけ上げても成果がほとんど伸びない。線はほぼ横ばいのまま這っていく。思考・マインドで分けても、同じ形の図になる。AIの利用頻度は、成果の必要条件ではあっても、十分条件ではない。

【図表9】スキルの高い層と低い層の「AI活用成果」の違い
出所:パーソル総合研究所「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査