選抜や評価基準をアップデートしよう

こうしたAI環境におけるハイパフォーマーの特性分析から、人事施策としての含意を三つ記しておきたい。

第一に、最も影響を受けるのはやはりハイパフォーマー人材の要件定義である。これまでの私たちの選抜基準や評価制度は、長い時間をかけて積み重なった「自社のハイパフォーマー」の姿に寄っている。それが、AIによってひっくり返りつつあることが示唆された。「興味より役割」「アイデア発散よりも対人調整」に寄りがちだ。その基準のまま登用を続ければ、AI環境で成果を出しにくい人材が、組織の上層に積み上がっていく。

むろん、個社それぞれの事業や組織特性を反映させる必要があるがアニマル・スピリットや立体思考といったこれまでとは異なる人材の姿を、制度や目標管理に落としていくことは、人事部しかできない仕事だ。

面接を受けるビジネスパーソン
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プロンプト研修だけでは成果は伸びない

第二に、研修の対象を間違えないことである。メタ・スキルの低い層は、利用頻度を上げても成果が伸びていなかった。これは、現場感覚としても非常に納得できる。ツールの使い方を教えるスキル研修をいくら重ねても、この線は上を向かない。必要なのはプロンプトの型ではなく、着手前に前提を整理し、優先順位を決め、出力を現実と突き合わせるという、地味な仕事の作法のほうだ。そうしたメタ・スキルを明示的に意識させ、教えていくトレーニングが必要になる。

第三に、マネジメントの役割が変わることである。詳細は別のコラムに譲るが、調査からは成果を出すマネジメントの特性もやはり変わっていることが明らかになっている。AIが整った成果物を返す環境では、部下が自分の答えを疑う機会は減る。

だからこそ上司は、成果物を検品するのではなく、「なぜこの結論なのか」を問い返す立場に回る必要がある。加えて、閃きは試行が咎められない場所でしか出てこず、練る力は急かされない時間の中でしか働かない。AI時代に適合的なマネジメントの姿は、これまで通りの管理職の姿からやはり転換せざるを得ない。