国主導での特許戦略が必要不可欠

つまり、法を守ることを前提とした日本の性善説的な制度設計と、手段を選ばず知財を吸収し、最短で利益に変える中国側のシステム。この圧倒的な「非対称性」とスピードの差こそが、日本の農業資産が一方的に搾取され続ける構造的な敗北の正体である。

日本の農業知財を守るためには、もはや「相手のモラル」や「水際での取り締まり」に頼る時代は完全に終わった。性善説に基づいたこれまでの知財防衛は、巨大な市場の需要と、個人単位ではなく、組織的に行われているクローン増殖システムの前では無力である。

農業知財の流出を水際で完全に防ぐことが事実上不可能であるならば、根本的な発想の転換が必要だ。流出が発覚してから後手で動くのではなく、最初からグローバルな権利保護を前提とした特許戦略を国主導で徹底していく必要があるだろう。

つい先日、農林水産省は、同省が認定した機関が、新品種の開発者に代わって無断栽培の監視、許諾契約、訴訟対応までを行う認定機関制度をスタートさせた。また、今年7月に成立した改正種苗法では、品種登録前でも、輸出を差し止めたり、種苗や農作物の廃棄命令を出したりすることが可能になった。

日本の果実が国際的に高い評価を受けている今だからこそ、こうした取り組みによって農業知財を積極的に防衛していくことが肝要となるだろう。

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