公明党の弱体化が自民党の大敗を招いた

7月の参議院選挙で、自民党は票を伸ばせず、与党過半数に届かなかった。「石破おろし」の声もあるが、自民党執行部にとっては想定の範囲内だろう。

参院選は開票の結果、自民党は39議席、公明党は8議席だった。自民党は改選前の52議席から13議席、公明党は14議席から6議席を失った。非改選議席と合わせると与党は122議席で、過半数の125議席を割り込んだ。昨年10月の衆院選ですでに少数与党に転落していたが、連敗により衆参両院で少数与党となり、今後はますます不安定な政権運営を迫られる。

7月21日、参院選から一夜明け、記者会見する石破茂首相。
7月21日、参院選から一夜明け、記者会見する石破茂首相。

昨年の衆院選では、政治資金問題で自民党に逆風が吹いていた。今回は目立った逆風はなかったが、だからこそ現時点での与党の実力があらわれた。

今回与党に勢いがなかった原因の一つは、公明党の弱体化だ。公明党は与党入りして以降、自民党を批判してブレーキをかける役割を放棄してしまった。存在感を示そうと国民にお金や商品券を配る政策には躍起になるが、デジタル後進国の日本では、お金を配るにも事務コストの負担が大きい。「アベノマスク」の事態を見ても明らかだ。

今回の参院選でも物価高対策として1人当たり一律2万円の給付を公約に掲げたが、実際国民に給付する事務を押し付けられることになるのは現場を担う地方公共団体だ。熊谷俊人・千葉県知事からも、X(旧ツイッター)で批判されていた。現金給付という独自色は、もはや通用しなくなっている。

支持者の高齢化も大きい。選挙には手足となって動いてくれる人が必要で、かつては創価学会信者を中心とした組織力が選挙で役立った。私は1995年の東京都知事選に出馬したとき、公明党とも話をしている。条件がのめずに最終的に応援を断ったが、公明党の組織力の強さを感じてはいた。

しかし支持者が高齢化して、子どもたちの創価学会離れが進んでいる。公明党の比例代表の得票数はピーク時に900万票近くあったが、今回の参院選は521万票まで減った。これまで自民党が公明票のおかげで僅差を制していた1人区や都市部の複数区で、今回はその上乗せが消え、逆に競り負ける選挙区が相次いだ。厳しい逆風がなくても与党が大敗したのは、公明党の支持基盤が揺らいでいるからである。

過半数割れは想定内 石破政権の狙いとは

ただ、執行部にとって参院選の負けは織り込み済みであり、石破茂首相も退陣のつもりはないだろう。それは選挙後の会見からもよくわかる。石破首相は「比較第一党としての責任を果たす」というフレーズを繰り返した。

比較第一党であることを強調したのは、93年の衆院選後に細川護煕内閣が誕生したことが念頭にあったからにほかならない。当時、宮澤喜一首相率いる自民党は離党が相次ぎ、議席は過半数を割っていた。選挙でも党勢を回復できず、共産党を除く野党が集まって非自民の大連立政権が誕生。自民党は下野せざるをえなかった。石破首相にとって最悪のシナリオは、宮澤内閣の二の舞いを演じることだった。

自民党で今回の選挙を取り仕切ったのは木原誠二選挙対策委員長だった。木原選対委員長は岸田前首相の懐刀だが、安倍内閣時代から目立たないところで汗をかくことが得意で、石破政権でも政権存続のために手を打っていた。

(構成=村上敬 写真=時事通信フォト)

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