なぜイスラエルの誘いにアメリカが乗ったのか
6月21日深夜、アメリカがイランの核施設に空爆を行った。被害は甚大で、13日から続いていたイスラエルとイランの「12日間戦争」は24日に停戦合意に。この空爆は世界の地政学に大きな変化をもたらす。日本は変化についていけるのか、とても心もとない。
今回の12日間戦争の背景にあるのは、イランの核開発だった。核開発を進めていたイランは2015年、米欧諸国が科していた経済制裁の解除と引き換えに核開発の制限に合意した。合意には米英独仏中ロの6カ国が参加していたが、18年に第1次トランプ政権のアメリカが離脱。それを受けてイランも核開発をふたたび加速させていた。
合意が完全に反故になったわけではなく、国際原子力機関(IAEA)による査察は続いていた。しかし、査察が機能せず、イランはウランの濃縮度を60%まで高めていた。
それに我慢がならなかったのがイスラエルだ。イスラエルは核保有国だが、イランが核兵器を完成させれば自国の優位性がなくなってしまう。ただ、イスラエルにはイランの地下約100メートルにある核施設を破壊できる兵器がない。そこでアメリカを巻き込もうとネタニヤフ首相は戦争を仕掛けた。
実は核弾頭をつくっても、ミサイルで飛ばして敵地で爆発させるのは容易ではない。イスラエルはフランスに技術を教えてもらって核兵器を完成させたが、イランに技術を教える国はない。それを考慮すれば、イランの核兵器完成にはまだ猶予があった。しかし、イランの支援を受けていたパレスチナのイスラム組織ハマスはほぼ壊滅し、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも弱体化。シリアのアサド政権も倒れている。イランを攻撃するなら今だということで、攻撃に踏み切った。
これにアメリカも呼応した。アメリカはベトナム戦争以降、お粗末な軍事作戦が続いていた。しかし今回は、イエラエルの情報機関モサド(イスラエル諜報特務庁)からもらった情報をもとに周到な用意をして爆撃を成功させた。
アメリカが誇る地下貫通弾「バンカーバスター」は地下約60メートルまでしか破壊できず、重要施設は無事だという分析もある。しかし、1回で届かなくても2回、3回と打ち込めば地下100メートル以上でも関係ない。
注目は空中給油を成功させたことだ。当初、ステルス爆撃機はミズーリ州の基地からグアムに向かったとされていた。ところが、これはフェイントで、アメリカ本土からイランに直接向かっている。その際問題になるのがステルス爆撃機の航続距離だ。バンカーバスターは1発約13トンで、それを2発積むと航続距離が短くなる。直接向かうには空中給油機を出して途中でひっそりと給油する必要があるが、アメリカはそれを苦もなく成功させた。
それにしても、なぜアメリカはイスラエルの誘いに乗って空爆したのか。最大の理由はノーベル平和賞だ。馬鹿げたことだが、ドナルド・トランプ大統領は本気でノーベル平和賞を欲しがっている。そのためには「俺が世界を平和にした」と演出する必要があった。
演出の方法は単純である。トランプ大統領は「アプレンティス」というリアリティーショーの司会で有名になった。その番組では最後のいいところで登場して「You’refired!(おまえはクビだ!)」と決め台詞を発して盛り上げる。12日間戦争も同じで、最後に自分の出番を持ってきて目立とうとした。
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