2026年7月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。健康部門の第3位は――。
▼第1位 「高齢でもヨボヨボにならない人」は頻繁にしている…医師「定年後も前頭葉が元気な人のアウトプット習慣」
▼第2位 ウォーキングより効果的…医師が「血糖値と血圧を下げる」と勧める食後たった5分の"ゾンビ体操"
▼第3位 ストレッチや体操はむしろマイナス…米名門大学が証明した55~80歳の記憶力を改善させる「週3回」の日課
※本稿は堀田秀吾『疲れ切った人のための勉強法』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。
神経細胞の「肥料」を増やす
一日に頭をフル回転させたあと、少し歩いただけで気分が軽くなる気がしますが、実は、その「スッキリ感」は気分だけではありません。学習という面では、脳の中身にもかなりいい変化が起きています。
その中心にいるのが、記憶に深く関わる「海馬」と、神経細胞の成長を支えるタンパク質「BDNF(脳由来神経栄養因子)」です。
海馬は、脳の内側の奥にある小さな領域で、新しい出来事を覚えたり、道順をたどったりするときに活躍します。この海馬を元気に保つうえで重要だとされているのがBDNFです。BDNFは、神経細胞の「肥料」のような存在で、細胞の生存や成長、つながりの強化を助けます。運動によってBDNFが増えると、神経細胞同士の結び付きが育ちやすくなり、記憶や学習の土台が整っていきます。
運動とBDNFの関係を詳しく調べた研究もあります。コペンハーゲン大学のラスムッセンらは、健康な成人にローイングマシンで4時間の有酸素運動をしてもらい、その間に腕の動脈と首の静脈から同時に採血しました。
その結果、安静時と比べて、運動中は脳からのBDNFの放出が2〜3倍に増えており、血液中のBDNFのうち70〜80%は脳から来ているものであることが示されました。
さらにマウスにトレッドミル(走るための機械)走をさせると、海馬や大脳皮質でBDNFの遺伝子発現が3〜5倍に増え、運動終了から2時間後にピークに達していたと報告されています。つまり、筋肉を動かすことが、そのまま海馬や大脳皮質に「もっと育て」という合図を送っているわけです。

