住宅ローンは待つべきか否か

借金は消費の前借りだ、と言われます。いまは手にできないものを、借りることで先に手にする。その代わりに利息を払います。つまり金利とは、時間の値段だと考えることができます。

先ほどの例では、インフレ率も金利も10%でした。このとき、時間の値段はゼロになっていました。1年早く手に入れるための追加コストが、実質的に消えているわけです。これが実質金利ゼロの状態ですね。

では、実質金利がマイナスならどうなるでしょうか。インフレ率10%の社会で、5%で貸してくれる人がいたとします。100万円を借りて、返すのは105万円。来年買えば110万円かかるものが、105万円で手に入ったことになります。差額の5万円は、待たなかったことへの見返りです。

時間の値段がマイナスになると、待つほうが損をします。いま住宅ローンをめぐって起きているのは、構造としては、これと同じことだと思うんです。

電卓を持つ人の傍らにはミニチュアハウス
写真=iStock.com/takasuu
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家は高い、でも金利は…

誤解のないように書いておきます。家そのものは、高いです。資材価格の上昇もあって、価格は明らかに上がりました。私自身、買うときに高いと思いました。家を買うのが大変な要素は、いくらでもあります。

ただ、金利が高いかと言われれば、そうは思わないんです。実質金利ベースで見れば、高くはないと思っています。

私たちは、どうしても名目のほうを見てしまいます。0.9%が2%になれば、倍以上に増えたと感じますよね。その気持ちはよく分かります。でも、物価が3%づつ上昇する社会で2%を払うことと、物価がほとんど動かない社会で0.9%を払うことは、意味がまったく違います。

もっとも、これはインフレが続くという前提の上に立った話です。そうならなかった場合は、どうなるのでしょうか。