みんな赤ちゃん時代に一瞬戻る
マクドナルドの店で、今度、「マックシェイク」を召しあがっているお客さんの顔を眺めていただくとよくわかるが、皆さん、陶然となさっている。母乳のスピードが、瞬間的に赤ん坊の頃の感触を思い出させるからである。
すべての人が味で勝負だ、と考えているときに、マクドナルドではスピードで勝負している。その発想が勝利を呼ぶのである。
母乳のスピードを出すために、マクドナルドのストローの直径のXミリメートルというのは企業秘密になっている。もっとも、おはかりになればわかってしまうが、シェイクを母乳のスピードで吸いこむために、あの大きさにつくられているのである。
人間というものは、母乳のスピードで飲みものが口の中に入ってくると、瞬間的に乳児時代の過去にかえることができるものらしい。赤ん坊の時代に戻って、無念無想の状態で「マックシェイク」を飲んでいる。
よく「マックシェイク」を飲んでいるところは絵になるといわれるが、母乳のスピードに陶然となっているから絵になるのである。
誰も思いつかなかった画期的な発想
私の母親は80歳になるが、マクドナルドの店に案内したとき、「マクドナルドで何が食べたいですか」と聞いたことがある。「マックシェイクが飲みたい」と母は答えた。「どうして?」と重ねてたずねると、「あれが一番おいしいから」という。
私は、80歳になっても、赤ん坊の頃の母乳の感覚を思い出すのだな、と楽しくなった。店にくるお客に尋ねても、「シェイクが飲みたい」という人は多い。「マックシェイクが飲みたい」ということは「オッパイを吸いたい」というのと同じことなのである。
私は講演でこの話をするときには、「皆さんも今晩、帰って実物を飲んでごらんになったらいかがですか。皆さんは飲まずにいじって楽しんでいらっしゃるようだが、神様がおつくりになった本当にうまい飲みものが手近にあるのだから。一度飲んでごらんになるべきですよ」ということにしている。
マクドナルドでは、包むときは、ラッピングペーパーで包むとか、クオリティ(品質)、サービス(奉仕)、クリーンネス(清潔)のQSCを教育したりしているが、外食産業の誰もが考えつかなかった、母乳のスピードで味覚に訴える作戦こそ、意表をついた発想であるといえる。

