もらい事故をきっかけに職を失った

「報酬の3分の1ぐらい天引きしておかないと後々の支払いに困ることがあるので、給料というか自分の自由になるのは20万円。調子が良かった月は22万円ぐらいでした。生活はとりあえずちゃんとやれていた。バイク便ライダーは11年、54歳まで続けましたね」

時々、社員採用の仕事を探したが、まず年齢で弾かれる。採ってもらえそうな仕事は日給9000円前後のものばかり。これならバイク便ライダーの方がまだ良かった。

「自分の裁量でペース配分できるし、嫌な野郎と関わらなくていい。だからダラダラ続けちゃったんだな」

営業所では売上上位のライダーだったが、11年5月にもらい事故で左足の甲と肋骨2本を骨折する重症を負ってしまう。社員ではないから休業補償などなく、「治ったらまた来てください」でおしまいだった。

治療費と当座の生活費は相手の保険で賄われたが、怪我が治ったらバイク便に戻る気はなくなった。車と違ってむき出しで走っているから、事故があったら怪我や死亡するリスクが高い。急に怖くなった。

月15~16日働いて、5万円を稼ぐ

「職安に2カ月通って次に入ったのは不動産管理会社です。病院、学校、工場の用務員とかマンションの通勤管理人をやっていました。直接雇用で社会保険加入だったけど、時給はその年の最低賃金と同じだった。だけど単身だから食うに困るようなことはなかったよ」

1年ごとの雇用契約を繰り返して65歳まで続け、さらに半年間は半日パートで使ってもらった。自分が仕事を選べるような人間じゃないのは分かっているから、使ってくれたことには感謝している。

「年金は65歳で支給申請をしたのですが、何しろ少ないでしょ。やってやれなくはないだろうけどお金は邪魔になるものではないし、収入があれば安心する。だからまた短時間パートを探して働いているんです」

求人情報誌で見つけた仕事は内科・透析クリニックの患者送迎ドライバーという仕事。

「軽のワゴン車で自宅からクリニック、クリニックから自宅へ送迎するわけです」

勤務時間は8~11時、11~15時、15~18時のシフト制で、時給は1180円。

「出勤日は3日出る週、4日出る週を交代でやっていて、月15~16日というところですね」

収入は月に45時間働いた場合、約5万3000円。これだけあればひと息つける。

「だけど収入を考慮したら毎月の出費は多いと思います。家賃の負担が重たい」

車を運転する中年の男性
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