AIコンサルに任せたのに失敗する理由

BレベルのAI化では、コンサルティング費用が高額です。会社の規模・業務内容やAI化の範囲にもよりますが、10億円以上、ERP(※)などシステムの更新も併せて行うと、数十億円に達するケースもあります。

※ERP……企業のヒト・モノ・カネ・情報などの経営資源を一元管理し、業務の効率化や迅速な意思決定を図るための統合基幹業務システム

コンサルティングを起用することで高いROAを実現できるでしょうか。Aレベルのコンサルティングは、効果が小さい代わりに大失敗に終わることは稀です。一方、Bレベルはうまくいけば大きな効果を得られますが、必ずしも期待どおりの成果につながるとは限りません。

Bレベルが失敗に終わるパターンはさまざまですが、部外者であるコンサルタントが現場の実態を踏まえずにAI化を進めてしまうケースも珍しくありません。また、コンサルタントの支援が適切であっても、変化を嫌う従業員が抵抗・反発したりします。

さらに大きな問題があります。

14億円かけて6億円の利益を得たが…

企業もコンサルタントも「大成功だった!」と認識していても、実はROAがあまり高くない、あるいは実質的にマイナスになっているケースがあることです。

ここで筆者が取材したA社の話を紹介します。A社は機械メーカー・M社のコンサルをしたそうです。


M社は、コンサルティングファーム・A社を起用してAI化を進めました。A社は、「業務調査→DX戦略策定→業務改革(BPR)→AI導入→PoC(概念実証)」と3年がかりでプロジェクトを進めました。なお、ERPなどシステムの更新はしませんでした。

このコンサルティングには、14億円の費用がかかりました。そして、A社によると、当初の見込み通り約20億円の合理化効果が得られました。利益は6億円(=20億円-14億円)、ROAは42%(=6億円÷14億円)です。

M社の経営陣は、今回のコンサルティングにおおむね満足していますが、少し浮かぬ表情です。というのは、コンサルティング費用が発生したことで、決算が減益になったからです。

A社が主張する「20億円の合理化効果」の大部分は、AI化で縮小・廃止する業務に従事している従業員の人件費の減少です。しかし、実際に人員削減をしたわけではないので、人件費は減っておらず、コンサルティング費用が収益を圧迫しています。M社の経営陣の一人は、コンサルティングの効果に疑問を投げかけました。

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