高い支持率の中に「大誤算」の原因が

第三に、高い支持率の由来についての読み違いであろう。政権発足時の支持率は各社で6割台後半、2月の衆院選では316議席を得た。会見でも首相は「この大きな、大きな負託」と繰り返し、公約実現こそが使命だと述べている。

だが時事通信の7月調査を見ると、全体の支持率49.0%に対し、有権者の6割近くを占める無党派層の支持は39.6%で前月比7.8ポイント減。自民党支持層の支持率が86.5%と高水準を保つ一方で、無党派層の離反が全体を押し下げているという評価もある(注6)

無党派層の支持は「委任」ではなく、条件付きの「預託」である。閉塞感を変えてほしいという期待に対して返ってきたのが皇室典範と副首都であれば、預託は容易に引き揚げられる。316議席を政策転換への白紙委任と読んだのだとすれば、それが最大の誤算だったのかもしれない。

注6:時事ドットコム「「高市離れ」無党派で加速 内閣支持4割切る◆時事通信7月調査【解説委員室から】」(2026年7月16日)

「NO!」と書かれたプラカードを持つ人の手のイラスト
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会見から見えた「首相が今重視するもの」

会見のやりとりで最も示唆的だったのは、日本テレビの記者が今国会の反省点を問うた場面である。

首相は「反省点というのは特にございません」と答えたうえで、「あえて言えば、もう少しマーケットへのメッセージ、市場への発信、こういったことが重要になってくるのではないか」と続けた。

支持率低下について問われた際には「世論調査の結果やその要因についてコメントするということは差し控えます」「数字に一喜一憂することなく」と述べている。つまり、説明の相手として名指しされたのは市場であって、有権者ではなかった。この非対称は、意図されたものではないだろうが、現在の政権の重心の所在を映しているように思われる。

そののち、円ドルレートが急騰し、当局の介入があったと目されている。消費税減税を発表し、動揺する市場を政府介入で沈静化しようとする動きは、本末転倒だ。効果がどれだけ続くのかも疑問だ。

同じ質疑で首相は、英国首相の国会出席時間が年間40時間程度であることを紹介し、「我が国が向かうべき方向性ですとか、国家像を腰を据えて戦略的に考える時間を取ることは、なかなか簡単ではない」とも述べた。

国会改革論としては傾聴に値する論点であり、筆者も日本の首相の国会拘束時間の長さは検討に値するとは考える。だが、各社が下落理由として「説明不足」を挙げている局面でこれを語れば、説明責任からの後退と受け取られても仕方がない。