強気姿勢を崩さないインドネシア政府
政府機能の移転は停滞し、渋滞から脱却するためのARTは機能せず、洪水なしの生活も実現せず。フォレストシティの看板も遠ざかった。
にもかかわらず当局は、こうした懸念を真っ向から退ける。ヌサンタラ首都庁長官のバスキ氏は、計画は順調だとの主張を崩していない。
バスキ氏は2025年10月、新首都を見渡す自身のオフィスでガーディアンの取材に応じた。建設の遅れや政権の推進力不足を指摘する報道を「事実ではない」と退け、プラボウォ氏から直接、「これを続けてもっと早く完成させることが私のコミットメントだ」と伝えられたと明かした。「資金はある、政治的コミットメントもある。なぜ疑う必要があるのか」
予算については「削減ではなく再配分だ」と説明した。環境破壊への批判に対しても、総面積25万2000ヘクタールのうち開発は4分の1にとどめ、残りは緑地として保全すると反論している。
実際、工事は進んでいる。ジャカルタ・グローブによると、2025年末には立法府・司法府の庁舎建設が始まり、2028年までに行政・立法・司法の各機関をヌサンタラへ移転する計画だ。
だが、現地を訪れると、計画とは別の風景が見えてくる。隣のスラウェシ島から来た観光客のクラリザさんはガーディアンに、「清潔でモダン」と新首都の印象を語った上で、「でも、なんだか不思議なくらい静か。まだ誰もいないから」と加えた。
新首都の人口は2045年でも200万人止まり
ガルーダをかたどった宮殿こそ建ったが、ヌサンタラの大通りは閑散としたままだ。果たされない数多くの約束が、新首都で宙に浮いている。
4000万人超の人口を擁するジャカルタ都市圏の過密状態を緩和する。それが首都移転の大義名分だった。だがNPRは、ヌサンタラの人口は2045年時点でも200万人にとどまる見通しだと指摘する。ジャカルタの混雑が解消されないだけでなく、人の流れが細れば、新首都といえども衰退を免れない。
ヌサンタラの経済は今、どれほど賑わっているのか。コンビニと下宿を営むデウィ・アスナワティさんは昨年、ガーディアンの取材に、「ジョコウィが大統領だったころは貸し部屋が満室だったが、今は収入が半分に落ちた」と語った。
地元で店を営むシャラリヤさんも、同紙の取材でこう振り返る。「最初はランドリーが毎日満杯だった。でも労働者たちが帰ってしまうと、何もかも止まった。友人たちも多くが店を閉めた。人々はここがゴーストシティになるのではと心配している」
建設作業員のベジョさんも、「仕事はまだあるが、残業も給料も減った」と話しており、建設ブームがもたらしたにぎわいは、急速に失われつつある。
ヌサンタラは「巨大な約束であると同時に、巨大な問いでもある」と、NPRは評している。ジャングルの土地で静かに暮らしてきた人々を追いやってまで開拓した新首都に果たして意味はあったのか、答えはまだ見えない。


