「販売チャネルは大事です」。そう言う長澤社長は、この事業環境の大転換を危機ではなく成長の機会と捉え、スーパーチャネルでのコメ関連商品売り場を開拓していく事によって乗り切った。
「窮余の策というか、それが大きな転換でした。雑穀がぐんとスーパーで売れていったんで、私どもはひと息つけるようになったんです。最初は米コーナーの棚の一番上に(穀物商品を)一段乗っけてもらって、一段が二段、二段が三段とどんどん棚が増えていったんです。まさに販売チャネルはうまく転換できました」
ヒット商品が生まれる好循環
はくばくは「雑穀カンパニー」となり、雑穀ミックスの新シリーズ商品を相次いで発売することになった。
「これもひょうたんからコマでした」。長澤社長はそう笑って、もうひとつのメガヒット商品の「もち麦」を指さした。黒色のパッケージ、真ん中に白色麦メシがどんと写っている。存在感がある。
「これ大ヒットです。このもち麦をご飯に混ぜて食べるわけです。豊かな食生活というか、調理の必要があるというのは、ちょっと面倒くさくて弱点でもあるんですけど、やっぱり家族が調理をするので愛情が加わるわけです」
「もち麦」の発売は、2012(平成24)年である。ひょうたんからコマというのは、当時会長だった父・利久氏が米国に出張し、「もち麦」を大量に買い付けたことがきっかけだった。製品化のアイデアがなく、これが在庫の山となっていた。もち麦は大麦ながら、押し麦とは違い、丸いままである。
「昔の大麦は押さないと炊けないというのが業界の常識だったから、もち麦も混ぜたご飯も炊けないと思っていたんです。そうしたら、ある時、開発スタッフが“今の炊飯器なら炊けますよ”と言ってきたんです。“たまたま一緒に炊いたら、おいしいですよ”と。それで、炊いて、食べてみたら、確かにプチプチしてうまい、これ、やってみようじゃないかとなったんです」
なぜパッケージはシンプルな黒色なのか。
「もう黒色でいいじゃないか。そんな感じだったんです」
「基本的には全部、ゴーサイン」
加えて、もち麦は栄養価が高く、食物繊維が豊富でもある。「ダイエット商品」として売り出したところ、新しい健康食品としてテレビの番組に取り上げられたり、雑誌などで企画広告を打ったりしたことで、どんどん売れた。
「根っこには、うちは大麦のマーケットを増やしたいというのがずっとあったんです。“大麦こそ最善だ、健康に非常にいい食品なんだよ”って。これもひとつのチャンスというか、可能性というか、今までにない大麦の食感だったんです。偶然とはいえ、これは面白いと思いました」
もち麦は現在、年商55億円を売り上げる。

