「私が最初にやったのは、儲かる仕組みづくりです。仕組みを整えないと、ヒット商品が出ただけじゃ儲からないんです。かつては『穴が開いたバケツ』状態で、水(利益)が漏れているような状態でしたから。まず利益がしっかり見えるようにしたんです。いま、うちは全部オープンにして、営業マンも数字を全部わかっています。また、昔は“欠品のはくばく”って言われていました。それを変えて、在庫管理をちゃんとするようになりました。まず儲かる仕組みを作ってから、雑穀が立ち上がったのでうまくいったんです」

穴が開いたバケツ状態とは。

ひと言でいえば、どうすれば儲かるかが社員に共有されていなかった。商品を売るにしても、値引きして売れば、実質利益には結びつかない。「だから、別に損を垂れ流しているわけではないんだけど、損か得かわからない商売を続けていた感じなんですよ」と述懐した。「安く売っても売り上げは立つじゃないですか。だけど、原価割れは赤字ですよね。営業マンには、その原価が割れているかどうかが分かっていなかったんです。利益がわからない状態で売り上げだけを追いかけさせていたんです」

はくばく・長澤社長
筆者撮影
「穴が開いたバケツ状態」だった当時の様子を振り返る

数字の見える化で社員の意識に変化

通常、会社で大切な数字と言えば、売上総利益(粗利)だろう。売上高から商品の仕入れ原価や製造コスト(売上原価)を差し引いた利益を指す。

「だから、営業マンでも単品ごとに粗利が分かるようにしたんです。会社全体の固定費を売上高で割った数字、固定費率も明確にしました。営業マンはそれを上回る商売をしなければいけないという意識に変わったと思います。条件整備としては、既存のビジネスもそうやって見直せば、だいぶ収益が変わったんです。儲かっていない商品は生産をやめました」

製造部門についてはトヨタ自動車の生産システムの核となる生産管理手法「かんばん方式」応用編を導入したほか、業務改革専門のコンサルティングを依頼し、商品ごとの原価を計算して利益の見える化も図った。

販売チャネルの転換

儲かる仕組みという点では、1995(平成7)年の食糧法改正が、はくばくの事業環境を大きく変える転換点となった。米の流通・販売が自由化されると、従来の主力販売先だった米穀店が減少し、長年築いてきた販売チャネルは大きな変革を迫られた。

販売チャネルとは、企業が自社の商品やサービスを顧客に届けるための経路を指す。父の二代目・長澤利久社長の時、はくばくは乾麺などを米屋で売るビジネスモデルだった。だから、米屋が減少していくと、必然的に商品もどんどん売れなくなっていった。